上智大学 法学部 特別入試 志望理由書 提出例(川瀬剛志ゼミ向け)

■ 議論の整理
経済のグローバル化が加速し、貿易や国際分業が進む中、国際的なルールと紛争解決の手段としての世界貿易機関=WTOの意義と役割はますます重要となっている。それに伴い、「紛争解決に係る規則及び手続に関する了解」(DSU)によって紛争解決手続きの司法化・自動化も進み、多くの件数を実効的に扱ってきた。

■ 問題発見
一方で、加盟国の増加や多様化、そしてパワーバランスの変動によって、GATT体制の時から採用しているコンセンサス形成が難航していること、拘束力があり遵守が求められるDSBの勧告履行の遅れや不履行の問題、WTOと同様の規則を持つ地域貿易協定との紛争解決の重複による問題などから、「WTOの限界」も各方面から指摘されている※。しかし、交渉やコンセンサス、勧告履行の遅滞といった問題は文化の異なる国際交渉の場面では日常茶飯事であり、それを理由にWTOの紛争解決による成果や、理念への賛同と参加による信頼関係醸成の機能を無効にすることはできないのではないだろうか。

■ 論証
私は川瀬教授が検証によって示してきたようなWTOの紛争解決の成果を再評価し、改善・改良を加えるほうが有効であると考える。特に経済的な紛争においては、どちらの主張が認められるかではなく、結果として不均衡な貿易が改善されたり、それによって両者の国内産業や経済全体の改善向上が認められることであるから、長期的な視野に立って紛争解決の成果を調査・検証していく必要がある。

■ 結論
私は各国のWTO参加を長期的な信頼関係構築による産業振興への投資と捉え、WTOの紛争解決手続きと長期的成果に注目していきたい。世界的なコロナ禍により、すでに輸出入に制限がかかったり、国内産業が打撃を受けている分野が多々あり、WTOへの申し立ても増加することが見込まれる。さらにWTOのサイトでは、医療用品や食糧を含む必需品の自由な物流,グローバルな供給網の維持や強化によって、コロナ危機による経済的ダメージの克服と平和に貢献しようとする提案がなされている。こうした改革の動きや危機への対応にも着目していきたい。

■ 結論の吟味
上記のテーマを追求するために、国際経済法の分野でWTOの紛争解決を専門とされている川瀬剛志教授のゼミに入会することを強く希望する。

※川瀬剛志. (2010). ルール執行機関としての WTO-紛争解決手続および多国間監視の現在.

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