■ 議論の整理
2016年、ブラジルはリオオリンピックとパラリンピックの開催地として世界の注目を浴びた。 昨今、別の観点からもう一つ世界で注目されているのは、 テメル政権下におけるブラジルを含む地域経済統合メルコスールの「刷新」であろう。 1995年にブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4国による関税同盟として発足したメルコスールは、国際情勢や内政の混迷の中で幾度となく存亡の危機を繰り返しながらも、ブラジルとアルゼンチンのイニシアチブの元、域内の連携を深化と域外諸国との関係強化に努めている。
■ 問題発見
ブラジルのテメル政権によるこのメルコスールの強化の取り組みは、国際社会においてどのような意味があるのか。また、域内諸国にとっては、統合の成果はどのように見ていけばよいのだろうか。
■ 論証
子安教授によると、米国のトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」や英国のEU離脱など、混迷を深める近年の国際秩序において、メルコスールの再活性化がもつ意味は大きく、今後もブラジルはメルコスールに軸足を置き、地域統合戦略を行っていくだろうと期待する※。この期待は、長年の保護主義的なメルコスールの性格が地域に貧困を生んできたことを批判的に評価し、太平洋同盟や日本をはじめ域外諸国との関係強化による新しい地域統合のビジョンを示す議長国の姿勢からも見て取れる※。
■ 結論
この問題意識を深めていくにメルコスールの刷新と通商の活性化は国際社会に、また域内諸国に山積する問題にどのような効果をもたらすか。それを研究するにあたり、私はメルコスールの域外諸国との外交政策に焦点を当てていきたい。経済的指標はもちろん、人間開発等の指標を活用し、域外との関係に消極的な時期と刷新以降を比較検討し、今後の動向を注視したい。
■ 結論の吟味
上述の目的を追求していくために、貴学のポルトガル語学科に進学し、学術的調査を遂行するための語学力を身につけたい。また、ブラジルの外交戦略について国際関係論の視点から学ぶために、子安昭子教授のゼミに入会することを強く希望する。
※子安昭子(2018) 世界通商環境の変化にどう向き合うか:テメル政権によるメルコスル再構築への動きと日本 Encontros lusófonos, (19), 21-32.
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