慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(大濱 しのぶ研究会向け)

■議論の整理論

わが国の間接強制に相当する制度として知られているフランスのアストラントは、19世紀の裁判実務の中で生み出されたものと解されており、立法化までに長い年月を要したが、1949年7月21日の法律により建物の立退事件の範囲で制限を加える立法がされた後、民事訴訟法の改正の一環に当たる1972年7月5日の法律に組み込まれ、はじめて一般的に法制化された。

その後20年を経て、今回は民事執行法の改正を機にして、1991年7月9日の法律により、改正が加えられた。今回のアストラントの改正において、立法の成果として現れた改正点と立法過程における争点は、一致しているわけではない。

アストラント金の扱いに至っては、立法の成果の視点からは可視化されないが、日本の間接強制に相当するものと考えられるため、重要である(*1)。

 

■問題発見

ここで,間接強制の視点からフランスのアストラントの改正における課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

アストラントの立法過程の議論が、立法の成果の上には現れてこないアストラントの問題状況の一面を示唆すること、更にその点を考慮すると、アストラントの動向につきなお今後の考察が必要と思われることである。それは次の点である。改正点といいうるのは、宣言の管轄につき、他 の裁判所の裁判にアストラントを付す場合に限ってではあるが、執行裁判官を原則としたこと、清算の管轄については、宣言の場合のような限定なくして全面的に、執行裁判官を原則としたこと、確定的アストラントを制限したこと即ち、仮定的アストラントを経ないで確定的アストラントを制限したこと即ち、仮定的アストラントを経ないで確定的アストラントを用いることを禁じ、確定的アストラントに期間制限を義務づけたこと、仮定的アストラントの清算の基準を債務者の「態度」と「履行するのに遭遇した困難」として明定したこと、不履行が不可抗力など外来的原因による場合にアストラン トは全部又は一部廃止されるとしたこと、仮に執行できることを明文化したことである。この他、アストラントを執行手続法の枠内に位置付けたことも注目できる。

一方、立法過程からみると、修正案が提出され議論が活発に行われたのは、確定的アストラントの制限、不可抗力の場合の扱い、アストラント金の扱いであったことがわかる。確定的アストラントの制限は、原案の段階から改正の柱の一つとされており、いわば立法の成果と過程が一応なりとも対応するものといえる。不可抗力の場合の扱いは、成果をみるだけでは必ずしも変更が明らかではないといえようが、立法過程ではかなりの議論があったものである。

また、アストラント金の扱いに至っては、立法の成果のみを眺めるとみえない問題点といえる。更に、立法過程の議論をみると、この最後の問題がとくに実際に深刻化していることが伺えるし、今回の立法ではこの問題は未解決のままに終わったとみることができる。この問題は日本の間接強制にも無縁なものではないため、アストラント金の取扱について、今後の動向になお注意すべきである(*1)。

 

■結論

そこで,今後のアストラントの改正事例を研究することで、日本の間接強制に期待される法制度の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,民事訴訟法や民事執行法を専門に研究している大濱しのぶ教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1大濱しのぶ(1996)「アストラントの改正作業 : 1991年7月9日の法律の審議過程」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.69, No.1 (1996. 1) ,p.441- 488

 

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