慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(大山 耕輔研究会向け)

■議論の整理

パブリック・ガバナンス論においては、ガバメントからガバナンスヘという問題意識は共通しており、民主主義的なガバナンスの原則が検討されてきている。そこでは、ガバナンスの失敗についても認識されてきており、公共的間題の解決方法として、市場、政府(組織)、ネットワークをいかに組み合わせるかがポイントになりつつある。いいかえると、公共的問題解決の方法の組み合わせは、自助、共助、公助の三つの方法の組み合わせである。

パブロック・ガバナンス論の課題には目的・方法・主権の三つに分かれている。目的に関する課題とは、ガバナンスは実証概念なのか規範概念と考えるのか、ガバナンス原則と効率性のトレード・オフをどう評価するかという点である。次に方法に関する課題とは、信頼と抑制均衡のどちらが望ましいか、共同生産をどう行うかという点である。最後に主権に関する課題とは、政府や市民社会の役割は何か、共同生産におけるユーザーの役割は何かといった点である(*1)。

 

■問題発見

ここで,ガバナンス論の方法に関する共同生産をどう行うかに対する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

ステーク・ホールダー(利害関係者)はさまざまな立場から政策プロセスにかかわるが、パブリック・ガバナンスの視点からは、本人である市民の代理人として、政府が行う政策立案や政策執行、あるいは政策評価を、本人が監視したりモニタリングしたりすることが重視されている。

政策形成は、今や、単純なトップ・ダウンではなく参加が求められるようになってきており、サービス供給においては、私企業へのアウトソーシングや、ユーザー(およびその家族、友人、近隣者)の役割が重視されるようになってきている。その中で共同生産の重要性はますます高まっている。

例えば、環境ガバナンス論では、共同生産に関してステーク・ホールダーとして、自治体・政府・国際機関や企業、NPOなど多様な存在が考えられる。

しかし、ステーク・ホールダー間の責任分担や協力がどのような方法で有効にもたらされるかという課題が存在している。

したがって、今後パブリック・ガバナンス論の視点からステーク・ホールダー間の効果的な責任分担や協力のあり方を考案すべきである(*1)。

 

■結論

そこで,共同生産の評価に関する活用フレームワークを考案し,政府とステーク・ホールダーの共同生産の効率的な運営につながる方法論について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し,公共ガバナンスや重層的ガバナンスの類型化と可視化を専門に研究している大山耕輔教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1大山耕輔(2007)「ガバナンスの概念と課題について : ボバードの議論を参考に」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.80, No.1 (2007. 1) ,p.57- 89

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