議論の整理・・・貴学の論文(※1)では、フランソワ・ラブレーの作品では、ミクロコスモスが即ちマクロコスモスに直結するような体裁で書かれ、作品全体を通して「へそ」だとされている。これは近代の小説作法が成立する以前の、作法がなかった時代の物語構成の一例である。
問題発見・・・現代では小説作法は確立され、「へそ」が分かりやすく仕込まれている作品が大半である。しかし、そのなかにあって町田康は、全体が「へそ」であるかのような作品を執筆している。ところが、町田康に関する学術的研究はまだ存在しない。
論証・・・町田康は間違いなく現代日本で広く読まれている作家のひとりである。その小説作法は定型的な小説作法とは一線を画し、むしろフランソワ・ラブレーに近いと考える。だとしたら、町田康がなぜ広く受け入れられるのかを探るために、町田康の小説作法を研究するのは重要だと考える。
結論・・・そこで私は、町田康とフランソワ・ラブレーの物語構造の類似性・異質性について研究したい。
※1荻野安奈(1999)「「第二之書パンタグリュエル」 第十六章試訳, あるいは作品の 「へそ」 について」
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