■議論の整理・・・
世界銀行とは、途上国政府に対して融資などを行う国際開発金融機関を指す。その目的は、貧困を減らすこと、持続的成長をサポートすることである。その支援内容には技術提供や政策の助言なども含まれる。世界銀行を運営するのは加盟している188か国。加盟国は出資国でもある。世界銀行に対する影響力をあらわす投票権は、経済の規模や貢献度により決定される。つまり、出資額が大きい国ほど世界銀行さらには途上国への影響力が強くなる。
■問題発見・・・
世界銀行の融資政策は途上国の成長を促す指導的な役割を果たしてきた。しかしながら、融資や技術提供を通じて途上国への影響力を強める、政治利用の可能性はないのだろうか。
■論証・・・
1944年のブレトンウッズ協定は、第二次世界大戦を通じて疲弊した世界経済を安定化させることを目的に締結された。具体的には、国際通貨基金と国際復興開発銀行を設立することで為替相場の安定を図り、自由貿易を促進することが目指された。世界銀行の組織の一部となる国際復興開発銀行が含まれていることから、開発途上国の開発もミッションのひとつであることが分かる。論文※1によると、国際復興開発銀行が最初に融資したのがフランスである。それによりフランスは戦後復興を加速させたが、この融資の背景には冷戦体制があったと論文※1は指摘している。
■結論・・・
つまり、世界銀行の運営には政治的な意図が張り込む余地があり、必ずしも中立的な判断がなされていない。そのため私は、世界銀行の融資政策を調査し、政治的な影響力のありようを調べてみたいと思った。それにより、現在の世界銀行の成果と課題を明らかにする。
■結論の吟味・・・
そこで私は、世界銀行の歴史や課題に詳しい国際経済の専門家である矢後和彦ゼミに参加することを希望する。
論文※1矢後和彦(2012)「世界銀行の対仏借款―ブレトンウッズ秩序におけるフランス―」『早稲田商学』432号(早稲田大学)
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