慶應義塾大学SFC 総合政策学部 AO入試 自由記述 提出例(和田龍磨研究会向け)

■ 議論の整理・・・

原油価格はどのような要因で変動するのだろうか。第一の要因として,原油の在庫量だといわれている。在庫量は,「供給(生産量+輸入量)-需要(消費量-輸出量)」でおおよその量を求めることができるが,経済が活発になると,石油化学製品や燃料の石油製品などを生産するために精製工場の稼働率が上昇し,原油の需要が旺盛になる。そのため,原油の在庫量は減少し,価格も上がりやすい。その他,原油生産国の政治状況や地政学的リスクの上昇なども価格変動要因となる。最近の原油価格は,2014年中国をはじめとする新興国の石油需要が伸び悩んだ一方,2011年以降,原油価格が高値安定的に推移してきたことにより,ロシア・ブラジルなどのOPEC非加盟産油国での原油増産が続いたこと,急拡大を続けてきた米国のシェールオイルの生産が堅調に推移したことなどから石油市場は供給過剰となった。原油価格の下落が続く中でも,これまで原油供給の調整役を担ってきたOPECは,原油の減産を見送っている。それは,生産拡大を続けるOPEC非加盟産油国に対抗して市場シェアの確保を図るためであると言える。

■ 問題発見・・・

では,原油価格の変動は経済にどのような影響を及ぼすだろうか。

■ 論証・・・

原油価格の高騰は,消費国において,物価上昇,家計圧迫,企業収益悪化,投資減退などの影響をもたらす。経済的に大打撃を受けた民衆の暴動が発生した国や,燃料補助金などの財政出動を実施した国もある。一方で,原油価格の下落は,物価下落,家計負担軽減などプラスの影響をもたらすが,世界的な景気後退によってマクロ経済が悪化するため,こうした影響を実感しにくい状況にある。日本では,原油価格の高騰を受けて,輸入する原油価格も上昇するため,原油輸入量と輸入額の推移を見ると,第2次石油ショック以降,省エネルギーや代替エネルギー導入等が進展したことで石油依存度は低下し,輸入総額に占める原油輸入額の割合は15%前後で安定的に推移している。しかし,原油価格の上昇により輸入額が急増したことで2005年以降は20%超,2007年は約23%まで上昇し,2000年と比較すると約9兆円の増加となっている(*1)。

■ 結論・・・

そこで,原油価格の経済的影響を軽減するために必要となる省エネルギー政策や代替エネルギー導入政策について研究をしたいと考えている。

■ 結論の吟味・・・

この研究を進めるにあたり,貴学SFCに入学し,国際金融論やマクロ経済について研究している和田龍磨教授の研究会に入会することを強く希望する。

(*1) 和田龍磨.“経常収支と輸出入産業からみる原油価格の変化と日本経済”,科学研究費補助金研究成果報告書,2016

AO入試・小論文に関するご相談・10日間無料添削はこちらから

「AO入試、どうしたらいいか分からない……」「小論文、添削してくれる人がいない……」という方は、こちらからご相談ください。
(毎日学習会の代表林が相談対応させていただきます!)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です