■議論の整理・・・
今日の日本では、企業の情報開示は、健全な経済活動を進めるうえで不可欠だということは、おおむね共有されている。しかしながら、情報開示を積極的に行う企業と、それを躊躇する企業に分かれていることも事実である。とくに欧米諸国では、企業の情報開示は当たり前のことである。そのため、それに躊躇する企業は、グローバル化に適応できない、昔ながらの日本の体質であると、批判されることも少なくない。
■問題発見・・・
日本経済に大きな影響力を持つ会社が、あえて情報開示を行わず、未上場企業のままでいるケースもある。優良企業が必ずしも情報開示に前向きというわけではないのである。つまり、情報開示を行わない企業には、何らかの積極的な理由があるのではないか。
■論証・・・
論文※1によると、これまでの研究では情報開示の「量」に注目されており、「質」に関する言及は少ない。そのため情報の「質」をどのように捉えるかが、今後の課題とされている。情報開示を進めることで、消費者や顧客との信頼関係が生まれやすくなるなど、メリットは多い。ただ、「質」を保たなければ、企業にとってマイナスとなる何らかの要素が、情報開示制度に含まれていると考える。
■結論・・・
そこで私は、情報開示が企業に与えるプラスの効果とマイナスの効果を測定し、そこからあえて企業が開示しない理由について探っていきたい。そして、どのような「質」が保てれば、企業は情報開示に前向きに取り組み、自社の成長につなげていけるのか、具体的に提案できるような研究を行いたい。
■結論の吟味・・・
私は、早稲田大学商学部にて、会計情報を分析する手法について学び、それを情報開示の効果を測定する研究につなげていきたい。そこで私は、会計情報を実証的に分析し、情報開示のあり方についてさまざまな提言を行っている奥村教授のゼミに所属することを希望する。
論文※1奥村雅史(2016)「情報開示の測定について」『早稲田商学』446号(早稲田大学)
コメントを残す