早稲田大学商学部AO入試・志望理由書・提出例(久保克行ゼミ向け)

■議論の整理・・・

日本企業のガバナンスは、責任感や倫理観など心構えに拠るところが大きかった。社員ひとりひとりの心の持ち方がコーポレートガバナンスとして機能し、会社に利益をもたらすと考えられてきた。2018年に金融庁がとりまとめた改革案は、株主主導型のガバナンスを目指し、株主との対話を進めていくことを推奨した。この方針に従えば、会社は経営者や社員ではなく株主のものとなる。この価値観の転換は、日本企業に混乱や反発をもたらした。

■問題発見・・・

企業のグローバル化が進むなか、伝統的な日本のコーポレートガバナンス方法を維持することは困難である。そこで、日本企業の特性に馴染むガバナンスのあり方を考える必要があるのではないか。

■論証・・・

論文※1によると、「企業は株主のもの」と見なすアメリカ型のガバナンスは、日本企業に体質にそぐわない。むしろ、ステークホルダー型のガバナナンスのほうが妥当である。そこで論文※1は、企業の利害関係をコントロールする機能として企業理念に注目した。さらに私は、終身雇用が崩壊するなか、人事評価制度や給与体系が、新たなガバナンス機能となると考えた。

■結論・・・

もちろん、従来の従業員重視型のガバナンスは、世界のグローバル化にそぐわない。それに対して、一定の成果で主義を取り入れた人事評価制度や給与体系は、世界共通の価値観である。そのため、グルーバル化する企業においても馴染みやすい。そこで私は、人事評価制度や給与体系が、コーポレートガバナンスとしてどのように機能しているのか、ヒアリング調査等を通じて明らかにする。

■結論の吟味・・・

久保克行教授は、日本企業の特性を踏まえて、日本に馴染むコーポレートガバナンスのあり方を研究している。そこで私は、自分の問題意識を発展させるために、久保克行ゼミに所属することを希望する。

論文※1久保克行、広田真一、宮島英昭(2005)「日本企業のコントロールメカニズム:経営理念の役割」『季刊 企業と法創造』第4号

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