■議論の整理・・・
現在の日本経済の大きな課題のひとつが地域活性化である。地域の中小企業を活性化することで、日本全体の景気が良くなるとも言える。そこで、国や地方自治体は、地域に特化した予算を組み、イノベーションを創出するためのネットワークづくりを進めている。企業はだけではなく、大学、NPO法人、商店街、地域ボランティアなど、さまざまな組織が連携することでイノベーションが創出され、地域の活力になると考えられている。
■問題発見・・・
とくに地方の中小企業は、自社が持っている経験やスキルの有用性に気が付いていないことが多い。そのため、地域活性化につながるノウハウを持っていながらも、それを活かす機会を逃しているのではないか。
■論証・・・
地方の中小企業は、経営者が若返りしたタイミングで、事業のバリエーションを増やす、あるいは、ニーズの高い商品の生産にシフトするケースがある。それにより、海外を含めて新たな消費者を取り込み、事業拡大に成功することがある。一方、大部分の中小企業は、変化のタイミングを逃し、廃業に至ることも多い。それにより、地域で継承さていた製造スキルや文化が消えてしまうことも少なくない。
■結論・・・
論文※1によると、地域のネットワーク構築を通じて、イノベーションの創出に成功した事例は集められているが、協同関係が形成される理由や動機はほとんど明らかになっていない。そこで私は、数多くある事例の整理・分類を進め、地域のネットワークの有効性を戦略的に提示したい。そして、事業の拡大や路線変更を検討している中小企業が参照できる、理論やデータの構築につなげていきたい。
■結論の吟味・・・
藤田誠教授は、産業クラスター形成の研究の第一人者であり、事例の蓄積を活用して概念や理論を整理する必要性を唱えている。私は、藤田教授のもとで、地域ネットワークのさまざまな取り組みに応用できる、理論的かつ実証的な戦略の提案を目指したい。
論文※1藤田誠「地域イノベーション・ネットワークの戦略提携論的展開」『早稲田商学』454号(早稲田大学)
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