北里大学平成三十年度
(一)
学問を修める際は、己に忠実であれ(十六文字)
(二)
・結論
マズローやシェイクスピアの言葉に、己に忠実であれ、自らの良心に恥じないようにせよといったものがあり、この姿勢は学問を修める際に語られる「分からないのに分かったふりをするな」という意味の「知的正直」という言葉に通じる重要な態度である。
・根拠
学問を修める際、あてずっぽうに問題を解くような己に忠実でない姿勢でいる人は、間違えた場合でもそこから何も学べないため、学問において進歩がみられなくなってしまうからだ。(一九九文字)
(三)
学問に対する態度、心構えとして重要だと考えること
・結論
学問に対する態度として私が重要だと考えることは、学問をただ暗記するのではなく、その周辺知識まで積極的に想像力を働かせていくことである。
・根拠
学問を修めようとする際、私たちは教科書を読んでその知識を頭に入れようとするが、漫然と内容を暗記しようとするだけでは、知識は無機的でそれぞれに関連性がないように思え、暗記そのものが非常に苦痛に感じられる。同時に、学問を単なる知識の集積としてしか認識できずに、その学問がどのように世間で用いられているのか、応用され得るのかまで理解が及ばず、知識があるという以上の進歩ができなくなる。一方、知識の背景まで積極的に想像力を働かせようと努力することで、様々な知識を有機的に結びつけることができ、暗記が容易になり学問に興味が持てるようになる。また、有機的に結びついた知識は応用が利くようになり、机上の空論ではなく、実践的な知識として進歩させていくことができる。
・具体例
例えば、医師になるためそれ自体には医師国家試験に合格できるだけの医学知識が身についているだけで十分であるはずだが、実際はすべての医学部に病院で実習をする期間が設けられている。医学生は病気についてただ教科書を暗記するのではなく、実際に治療が行われている病院で病気に苦しんでいる患者さんに相対することで、患者さんどのような状態で、どのような背景を持っていて、患者さんに対してどのような治療が行われているかを否が応でも目の当たりにするのである。例えば肺がんを学ぶ際、教科書で肺がんの分類、それぞれの分類と喫煙の関連性について覚えるよりも、実際に病院実習で肺がん患者さんを受け持ち、その患者さんの喫煙歴を聞いた方が知識は身につくだろう。これは、教室で学んでいるだけで、想像力を働かせていない医学生も患者さんを通じてその病気の背景を知り、有機的に結びつけることができるようにするための教育方法ともいえる。
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