- 議論の整理
レジスタンストレーニングはスポーツパフォーマンスの向上のみならず、健康の維持、増進にとっても有効である。特に超高齢化社会を迎えた現代日本にあっては、加齢による筋力低下や慢性疾患への対策となることから、高齢者へのレジスタンストレーニング指導が重要な課題となるだろう。しかしながらこの分野における生理学的な研究は発展途上にあり、特にエクササイズ中の筋活動水準については十分な検討がなされていない。正しく安全なトレーニング指導を行うためにも、科学的な知見の集積は急務である。
- 問題発見
岡田らは、パワー発揮と筋活動について検討する為に、最大努力でベンチプレスの挙上動作を実施した際の発揮パワーとこれに関与する筋活動を評価し、最大努力で挙上するという条件下においては発揮パワーと筋活動水準には相関関係が見られないことを報告している。つまり、高速挙上動作を行うことで、低負荷でも高負荷同様の筋活動を行うことができる可能性が示唆されたのである。高齢者のような筋量が減少した人のトレーチング指導に、この結果を応用できないだろうか。
- 論証
現在主流となっているRM法では、負荷の最終局面で最大負荷を課すために、高齢者にとっては危険性があり現実的ではないと言われている。一方で、低負荷の重量を最大速度で動かすトレーニングは危険性が少なく有効ではないかと考える。しかし、筋肉の高速挙動を正しく行うためには相応の技術を要し、これを一般人のトレーニングに応用するためには、動作に貢献する筋肉に対する深い理解が必要である。
- 結論
この課題を克服すべく、私はレジスタンストレーニングにおいて各筋肉がどの程度貢献しているのかを筋電図指標を測定することで考察したいと考えている。特に、アスリートと高齢者の筋活動にどのような変化がみられるかということに関心がある。また、先行研究では触れられていなかった脚部の筋活動評価も行いたい。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、レジスタンストレーニングの生理学的研究に関して多くの論文を執筆し、ウエイトリフティング指導者としても活躍している岡田教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
岡田純一ほか(2010),「ベンチプレス運動中のパワー出力と筋活動パターンに関する研究」Strength & Conditioning Journal, 17(1), p.4-8
コメントを残す