- 議論の整理
世界中で4億人以上がⅡ型糖尿病に苦しめられている。この疾病の原因を特定することは容易ではなく、遺伝要因のみならず様々な環境要因が複雑に絡まりあって発症に至ると考えられている。従ってⅡ型糖尿病の予防・改善策を提案するにあたっては、罹患リスクに影響する要因をできるだけ多く特定する必要があり、数々の疫学的研究手法を用いた研究が行われてきた。運動がⅡ型糖尿病に有効であることは既に知られており、身体活動疫学の観点からエビデンスを蓄積することは、より良い運動療法の開発につながる。
- 問題発見
澤田教授らは、身体疫学的統計解析により様々な体力指数とⅡ型糖尿病罹患率との関係を明らかにしてきた。例えば、前向きコホート研究により筋持久力が高い人ほど罹患率が低いという結果が報告されている。このように蓄積されたエビデンスを活用して、糖尿病罹患率を予測する新たな指標が確立できないだろうか。
- 論証
先行研究のデータから様々な記述子を抽出し、重回帰分析を行えば、罹患率に影響を与えうる要因と、その影響度が求まると考える。これを遂行する為に、エビデンスの質を正しく評価する方法と記述子として用いることのできる各体力指数の算出方法について重点的に学びたい。
- 結論
この研究は、わが国における糖尿病対策のための政策立案の一助となりうる。特に私は親族にⅡ型糖尿病患者がおり、この疾病に苦しめられる人を身近で見てきた。この疾病と戦い、患者のQOLを向上させる研究に携わることに大きなやりがいを感じる。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、スポーツ疫学の第一線で今もなお精力的に研究し、様々な疫学的研究手法に精通している澤田教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
Sawada SS, Lee IM, Naito H, Muto T, Blair SN. (2010). Muscular and performance fitness and the incidence of type 2 diabetes: prospective study of Japanese men. Journal of Physical Activity and Health, 7(5), 627-632
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