- 議論の整理
地方創生法案に代表されるように、これからの日本社会の発展にあたっては地域社会をいかに活性化させるかが大きな課題となる。この課題に対するスポーツを通したアプローチはスポーツツーリズムの振興や地域スポーツクラブの育成などが挙げられる。特に地域住民主導で運営される総合型地域スポーツクラブは地域社会の連帯を強めるだけでなく、市民の社会参画への意思を促すと考えられるためにその育成は重要である。しかし、このようなクラブ組織の形成過程について組織学の観点から分析した研究は数少ない。
- 問題発見
この分野において作野は地域スポーツクラブをある種の社会運動と捉え、片桐の提示した運動課程図式に則りその形成過程を分析した。さらに、スポーツクラブを住民主導型と行政主導型の2つに分類するというタクソノミーを構築している。それでは、先行研究によって示されたプロセスにおいて、どの要素が組織の構築に重要なのかを詳細に検討できないだろうか。
- 論証
先行研究では、住民による課題認識などの、組織づくりを促進する心理的エネルギーをもたらす部分に注目したアプローチの少なさについて述べられているが、私はここに注目して分析を行いたいと思っている。具体的には、インタビューと文献研究により、クラブ組織の存在する地域の住民間でどのような課題がどのような経緯で共有されていったのかを調査したい。また、組織の発生段階だけでなく、その後の展開段階にも焦点を当てた長期的視点で分析を行いたい。
- 結論
スポーツ庁による総合型地域スポーツクラブの育成はいまだ発展途上の段階である。東京オリンピックを控え国民のスポーツ熱が高まっている現在、このようなクラブ組織の成長をリアルタイムで分析することには大きな意義があり、やりがいを感じる。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、この分野における先駆的研究者でありスポーツマネジメントについて豊富な知識を有する作野教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
作野誠一(2000).「コミュニティ型スポーツクラブの形成過程に関する研究 : 社会運動論からみたクラブ組織化の比較分析」『体育学研究』, 45(3), 360-376
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