早稲田大学 法学部 AO入試 志望理由書 提出例(首藤重幸研究会向け)

  • 議論の整理・・・

日本では、国家的に重要な基盤整備や環境に影響を与える大規模施設の建設政策について、それらが具体的な処分、もしくは実質的な処分としての性格を有する行為がなされた段階で司法審査の対象となる。しかし、政策決定の段階で司法審査の対象となることはなく、国家的に重要なプロジェクトで環境に影響を与えることになるエネルギー政策や交通・運輸政策について、それらの政策が裁判所によって取り消される、もしくは違法宣言がなされるという事態が生じているイギリスと大きく異なる。

  • 問題発見・・・

では、時々刻々と進化し続ける先端科学技術に対応するためには、どのような法整備が行われるべきなのだろうか。

  • 論証・・・

私は、これらの問いに答えるには、環境影響評価法をはじめとする日本の行政法に関する学説や裁判例の正確かつ緻密な理解を前提として、効率的な行政活動と国民の権利保障のバランスをとるために、諸外国の行政法政策と比較しながら考察を行うことが重要だと考える。例えば、行政法、災害と法、租税法の専門家である首藤重幸教授は、政策決定に至る過程で、その実施が約束された意見聴取の方法がコモン・ロー上の公正の要求を充足するものなく違法であるとした2006年のグリンピース判決の紹介と中心としながら、現代イギリス行政法の一断面を観察している[1]

  • 結論・・・

そこで、ヨーロッパにおける原子力政策の動向と原子力法の修正、ドイツ原子力改正の動向と我が国への影響、身分証明書法の機能と法的問題などを専門的に研究し、行政法、災害と法、租税法の専門家として名高い貴学法学部の首藤重幸教授に師事し、上述の問題点を整理するべく望ましい行政法政策について研究を深めたいと考えている。

貴学法学部の首藤重幸研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し首藤重幸研究会に入会することを強く希望する。

[1] 首藤重幸「イギリスにおける先端科学技術政策の手続的司法統制」早稲田法学85巻3号(2010年)665-687頁。

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