- 議論の整理・・・
民事訴訟手続は、訴状の提出により開始され、様々な事由に基づき終了する。
例えば、裁判所が証拠調べを行った後に、原告の請求が「認められる」または「認められない」との心証を得たときは、口頭弁論を終結して判決が下される。ただし、被告が原告の主張した事実を争わない場合など、実質的に争いがない事件については、判決書の原本に基づかない簡易な言渡しが可能である。
しかし、民事訴訟手続は、訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、裁判上の和解によっても終了し、訴えの取下げ以外については、これらの事項を記載した調書は確定判決と同一の効力を有する。民事訴訟法は、第73条第1項で、訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱いについて定めている。
- 問題発見・・・
では、裁判及び和解によらないで完結した場合にはどのような論点があり、その根底にはどのような歴史や哲学があるのだろうか。また、民事訴訟手続は、裁判外紛争処理(ADR)などの他制度と比較して、どのような特徴があるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、民事訴訟法に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、これまでの判例や学説を整理することが必要であると考える。例えば、裁判によらない訴訟の完結のうち、「和解」を除いた、費用規程では同じ取り扱いを受ける(民事訴訟法第73条参照)第1審における訴訟の終了事由に関する諸問題を取り上げ、分析を試みる研究がある[1]。
- 結論・・・
そこで、民事訴訟法における「時間」的価値などを専門に研究し、民事訴訟法学の専門家として名高い貴学法学部の勅使川原和彦教授に師事し、上述の問題点を整理するべく民事訴訟手続について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の勅使川原和彦研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し勅使川原和彦研究会に入会することを強く希望する。
[1] 勅使川原和彦「ドイツ上訴法改革の現状と課題」比較法学42巻1号(2008年)353-403頁。
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