- 議論の整理・・・
旧商法では、最低資本金制度が採用され、株式会社を設立するには1000万円(旧商法第168条の4)、有限会社を設立するには300万円(旧有限会社法第9条)の資本金を用意することが求められていた。その趣旨は、株式会社の株主や有限会社の社員は間接有限責任を負うに過ぎず、会社の債務の引当てになるものが会社財産しか存在しないことに鑑み、会社債権者の権利を保護することであり、株主等への最低限の責任として用意された。しかし、最低資本金制度の債権者保護機能は実効性がないという意見もあり、新たな起業の障害となっていたため、最低資本金制度は廃止された。
- 問題発見・・・
では、こうした最低資本金制度の廃止にはどのような歴史的経緯があり、その根底にはどのような法解釈や法哲学があるのだろうか。また、商法における資本概念は、どのように定義されるべきなのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、会社法の正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、現在の経済情勢との調和を図っていくことが必要であると考える。また、「法と経済学」的立場から法規制の効率性などを論じる必要もあるだろう。例えば、2004年には商法ワークショップが開かれ、資本制度の検討は債権者保護策を正面から論じるべきであることを確認したうえで、資本制度を徹底させるか、英米法的設立規制に転換するかの岐路であるとし、これまでの議論を整理している[1]。
- 結論・・・
そこで、会社法、商法、手形法、金融商品取引法、商品先物取引法を専門に研究し、会社法の専門家として名高い貴学法学部の尾崎安央教授に師事し、上述の問題点を整理するべく株式会社の法制度について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の尾崎安央研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し尾崎安央研究会に入会することを強く希望する。
[1] 尾崎安央「商法における資本制度・資本概念の再検討」私法2004巻66号(2004年)102-103頁。
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