早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(外山紀子研究室向け)

  • 議論の整理

人間にとって食事とは他者と行うものであり、幼児は共食という行為を通じて社会性を身につける。発達学の社会文化的アプローチを確立したヴィゴツキーは、発達を文化獲得の過程として定義したが、この過程は大人との相互交渉によって成り立つものである。外山教授は家庭での母子の共食を子どもが文化的活動に参加していく典型例として捉え、摂食、マナー学習、対話の3点に焦点を絞り、これらの能力が獲得されていくプロセスを実証的に研究した。

  • 問題発見

1歳から3歳児までの母子食事場面を観察した先行研究の結果から、母親からの働きかけが如何にして子どもの社会的な摂食行動の獲得に繋がるのかについての知見が得られている。具体的には、自立的な摂食行動に不慣れな1歳児に対して母親は子どもの摂食に合わせたルーティーンを多く行い、その後子どもの年齢が進むにつれて相互交渉の色合いが強くなっていくというものである。この結果から、子どもは3歳までに共食活動に必要な能力を獲得するということが示唆された。それでは、食行動の場を家庭から外部へ移した場合、母子の相互交渉にどのような変化が生じるのだろうか。

  • 論証

第3者の目を意識しない家庭内での食と比較して、外での食事はより高度な社会性が母子ともに要求される。この点を考慮に入れると、上述の食事行動の3要素のうち、マナー学習に関連した交渉が多く見られると考えられる。そして、子どもの側からの働きかけの頻度が減り、母親からの調整的働きかけを主な特徴とした家庭内のものとは全く別の食事局面が観察されることであろう。

  • 結論

母子間の相互交渉により共食行動を身につけた子どもはやがて、子ども同士や他の大人との共食を経験し、高度な文化的活動主体へと洗練されていく。この研究ではその前段階を想定した局面を調査することにより、食事行動における社会性獲得をより詳細に理解する為の知見が得られることが期待できる。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、発達心理学分野において子どもの食事と教育との関連をテーマに多くの研究を行ってきた外山教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

外山紀子 (2008)「食事場面における1〜3歳児と母親の相互交渉」『発達心理学研究』19, 232-242

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