■議論の整理
教育は社会にとってどのような意味があるのか、を考えることは意外に難しい。教育を承ければ幸せになる、とつぶやいてみても、そうだともいえるし、なんだか肩透かしをくらった気持にもなる。もういちど、教育とは社会にとってどのような意味があるのかを考察する必要があるのかもしれない。
■問題発見
教育に公的資金を投入してどの国も教育を行っている。しかし教育の効果というものを考えた場合、それは自明ではない。『教育の効果』というそのものずばりの書籍が1987年に出版されたが、その内容はどちらかというと経済学的な視点が強く、社会学的な視点に乏しいものだと、ある研究では指摘されている※1。
■論証
教育をどのような観点で効果がある、とするかは自明ではない。たとえば教育がGDPにどれだけ効果があるか、もしくは教育を受けている人の方が健康的かなどなど、多くの指標があり、それらがそうだともいえるし、そうでないともいえる。原理的には必要十分条件のすべてを模索することができないが、なんとなく教育をしたほうがなんとなくよい、という結論に陥ってしまうのだ。
■結論
教育社会学をもういちど復権すべきである。社会学はこれらの偏差を経済学的な視点だけに寄らずに、広く考えていくことができる学問だと私は思っている。教育はどのような格差を生み、どのような指標を提示すると、どのようなメリットやデメリットがあるか。もしくはそれらの測定者バイアスが、どのような結論を導き出してしまっているかを監査できるのも社会学の強みではないだろうか。
■結論の吟味
上記のような観点に立ち、今一度、教育の効果について考えてみたい。教育は必要だ。だが、どんな教育がどんな効果を及ぼしていて、そのためにどのような政策をすれば、官民一体となってよい教育効果を上げることができるのか、精査してみたい。以上のようなことを研究してみたいと考え、貴学への入学を希望する。
※1濱中淳子・日下田岳史「教育の社会経済的効果をめぐる研究の展開」『教育社会学研究』101 2017
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