早稲田大学 教育学部 外国学生入試 志望理由書 提出例(内山精也ゼミ向け)

■議論の整理

言語の変質を考えることは容易ではない。我々が使用している言語は、作られたものだからだ。日本であれば言文一致体が明治時代に創出された。それまでは文字をみな書くことができなかったし、文字と話し言葉は別物だった。話しているように書くことを明治政府が作り上げたことで、共通語なる言語が作り出されたと言ってよい。

 

■問題発見

上記の視点で国民国家ができたとする考え方はベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』に詳しいが、そこでは、印刷技術と同時に言語の創出が、共通の意識としての国民を浮き出していった過程が丹念に記述されている。近代は、共通語の創出によってなされたのだと言ってよい。とすれば、これはほかの国でどのように看取することができるだろうか。

 

■論証

中国の近世文学を研究したものに、南宋文学研究が挙げられる。南宋文学は研究の緒についたばかりだと言われるが、それは、それ以前の言語形式ともそれ以後の言語形式とも異なる混交性をもっているからだ。それ以前の言語形式である詩は、貴族階級もしくは科挙制度に代表される知識人のものだった。一方それ以後の言語形式である白話は近代の産物である。

 

■結論

ここに挿入されるべき重要な論点は階層意識である。われわれが生きている均質的な近代の空間を想定していると、南宋文学のような近世文学研究はうまく説明することができない。それ以前の貴族の詩である文言とそれ以後大衆の文学である白話小説の中間にある、雑多なものとしての性格しか浮かび上がってこないからだ※1。

 

■結論の吟味

上記のような観点に沿って、むしろ文言から白話への転換期に何が起こったかをつぶさに確認することは、文学が国民国家に変質していく様を、言語の面から歴史的にたどっていくことを可能にする。上記のような視点に立って、中国の近世文学研究に新しい風を送り込みたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1内山精也「転回する南宋文学――宋代文学は「近世」文学か?――」『名古屋大学中国語学文学論集』26 2013

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