早稲田大学 教育学部 外国学生入試 志望理由書 提出例(田渕句美子ゼミ向け)

■議論の整理

女性にラブレターを送る文化はいにしえより存在する。中世の貴族文化においては、男性が女性に対してアプローチするときは、和歌を手紙に書いて、そこに花などを添えて贈る、贈答歌が一般的だった。日本の長編文学として名高い『源氏物語』の主人公・光源氏もその例にもれない。

 

■問題発見

光源氏は、数多くの女性と恋愛する男性だが、一方で教養にも富んでいる。上手な和歌を詠むことができる教養の高さがステータスであり、女性も琴をたしなみ、和歌をよめることが男性から評価される重要な要素であった。『源氏物語』には男女双方からの風流にとんだ和歌が数多くちりばめられている。

 

■論証

一方で、『源氏物語』には、光源氏が時に女性に対して高慢で無礼な物言いをしたり、傲慢な趣の贈答歌を詠むさまが描かれている。好意を寄せてくれる六条御息所に対して、あなたの思いが煩わしいとでも取れるような表現をしていたり、花が散っていくようにあなたの容姿も衰えましたね、といわんばかりの比喩を使用していたりする。これらが源氏物語の和歌評価の中で研究者を悩ませていた箇所であり、源氏物語の品位を疑わせてしまう要因だった。

 

■結論

だが、ある研究者によれば、これらの表現も決して悪い意味でとれるわけでなく、当時の花のイメージや、「思い消す」の用例などから考えると決して悪い意味ではないことが導き出せる。むしろ、光源氏は、含みを持たせながら、相手との適切な距離を保ち、和歌を運ぶ使者たちが読んでも問題ないような言葉で、婉曲的に表現する名手だとすらよめる※1。

 

 

■結論の吟味

たしかに、他の研究者がいうように、身分差があるような女性に対しては、傲慢な部分もみられなくもないが、身分差に適切に留意した貴族文化を光源氏はしっかりと持っている側面もあり、敬語を使用しない和歌の中に合って、どのような婉曲的な表現で相手との関係性を表現するか、さらには気転の効いた表現で相手との会話を楽しむかに長けたすばらしい和歌だと評価することができるだろう。このように、私も貴族文化における和歌の研究に従事してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

 

※1田渕句美子「『源氏物語』の贈答歌試論――六畳御息所・朝顔斎院・玉鬘など――」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』29 2019

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