■議論の整理
日本政府が「留学生30万人計画」を標榜してから久しいが、本当に留学生は増えたのか。そして留学によって国際的な基準での学力やコミュニケーション力、ひいては課題解決能力が身についたのだろうか。
■問題発見
上記のような問いに対して、答えを与えるのは容易な作業ではない。まずそもそもの学力はどのようなものかが判然としないし、文化によってはコミュニケーションの方法や、課題解決の方法まで異なっている。多くの教育法があることが教育の良いことでもあるし、また厄介なところでもある。そのために存在するのが比較教育学という学問のジャンルである※1。
■論証
比較教育学は、それぞれの諸外国における教育方法を比較することで見えてくる教育方法の発展や、折衷を行おうとする学問だ。その成果が一つの形となって表れているのが、国際バカロレアだろうし、PISA調査のような学力調査になる。しかし一方で、留学生が海外の教育機関において新しい教育方法に慣れ、その中で学習していくスタイルの方法論が確立されているとは言えないし、そのような教育学を実践・報告していく必要があるだろう。
■結論
上記のような見取り図の下で比較教育学教材の開発に携わりたい。いくつかの比較教育学教材として古典的な理論書などはあるものの、実践的で現代的な比較教育学の入門書はないのが現状だ。また紙ベースのテキストではないものが、現代のICT教育の中でできないだろうかと模索してみたい。
■結論の吟味
国際化が進展する中で、留学する生徒が自国の文化や教育だけでなく、他国の文化や教育についても関心を持つことにつながるような、比較教育学の教材を開発し、方法論を広く身に付けてもらうことで、海外に出て、初めて通用する人材になると私は考える。上記のような研究をしてみたいと考え、貴学への入学を希望する。
※1 長島啓記「国際化時代の教学に活かす比較教育学教材の開発」『早稲田教育評論』28(1)2014
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