議論の整理・・・
現代人はかつての日本人よりも自分について語ることにおいて上達していると思う。それは、メディアでインタビューが公開される機会が増え、SNSで自分について語る機会が増えたことで、自分について考える時間も増えたためである。このようなライフストーリーには2つのタイプがあり、ひとつは一般の個人が自分の人生だ。そしてもうひとポピュラーカルチャーの中に偏在するキャラクターの人生である。個人は自分について語る場合、少なからず小説や歌、映画、漫画などの中で語られる人生に影響されていることが予想される。
問題発見・・・
一般の個人が自分の人生について語る時、個人を取り巻くカルチャーは個人の人生にどのような意味づけを行うだろうか。
論証・・・
例えば漫画の「海猿」が映画化して反響を呼んだ年、作品の題材となった海上保安官の志望者が急増したという。人生の岐路となる選択を行う際に、自分が触れてきたカルチャーが選択に影響する、あるいは選択を正当化させる根拠となるのではないかと予想される。そして、個人が思考の拠り所をカルチャー作品に求めるのは、身の回りでコミュニケーションをとるべき家族友人との信頼やつながりが希薄化しているのではないだろうか。
上記について調査するために、まずは先行研究を学ぶことで過去の世代の特徴的なライフコースを比較する。その上で現代のライフコースを調査するフィールドワークを予定している。
結論・・・
上記について貴学文化構想学部にてライフストーリー学に精通した大久保孝治教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
大久保孝治「戦後日本の人生問題とライフヒストリー」早稲田大学第一文学部社会学専修2005年04月
大久保孝治「近代日本における「人生の物語」の生成」『変容する人生ーライフコースにおける出会いと別れ』(コロナ社),pp.1-252001年04月
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