議論の整理・・・
あらゆる作品は、先行する作品群との関わりの中にあると言われている。例えば美術においては絵画はギリシャ神話や聖書のひと場面などが描かれることが多々ある。琳派のように風神雷神の同じ絵を、世代を超えた画家らが何度も繰り返し描いていることもあり、そのようなものであっても二次創作として尊ばれている。また、作者が実際に関わる土地や人、エピソードなどを作品に昇華していることも多い。それは作品が自分と他者を繋ぐ役割を果たしているからであって、逆に文学や美術作品のないところに社会は顕在化しないという指摘もある。また、作品を読んだり見たりすることによって、他者と感想を言い合うなどのコミュニケーションが生まれるので、他者同士のつながりを媒介するものとしての価値もあると述べることができる。あるいは他者の作品に触れることによって自分も作品を作りたくなるという二次創作の営みは、他者と一体化しようとすることではないかと指摘されている。しかしそこに自分が紛れ込む以上、他者と同一化することはできない。
問題発見・・・
コピーと二次創作はどのように違うのだろうか。ある絵画作品を模写したとしても完全に同じように描くことはまず不可能である。しかしそれが描いた人のオリジナル作品とは公式に認められない。贋作は作品価値が低いが、それがオマージュ作品とされれば作り手の評価につながる。例えばアンディウォーホルのレディメイド作品などがその例として挙げられる。社会的な評価の面と作り手の思想の面から考察が可能だと思われる。
論証・・・
小説などの作品を作る上で自分のオリジナリティと、元となる作品との関わりについて考察を深めながら執筆を行なっていくことを予定している。
結論・・・
上記について貴学文化構想学部にて文学創作に精通した小野正嗣教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
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