議論の整理・・・
子供の発達研究は2つの視点に分かれており、一方は個人としての能力の発達、もう一方は個体間の関係性の発達である。新生児は初め他者という存在を認識していないと考えられており、発達の家庭で親などの自分とは別の存在がいるということを学び取っていくとされている。その過程で、コミュニケーション手段を意図的に使うようになる。例えば、子供が言葉を覚える過程は、養育者からの声がけによって勝手に覚えるというより、養育者と子供の関係が深まっていく中で、両者のコミュニケーションをより深くする手段として子供が能動的に学び取っていくことがわかっている。また、生後12ヶ月から見られる他者の行動の模倣には、動作を模倣する合理的な理由がある時に発生するということがわかっている。
問題発見・・・
子供の行動はしばしば予測不能であり、ルールや思考が伴っていないようにも感じられるが、実は子供の行動は大人にとっての当たり前とは異なる価値観に基づいた論理的な言動であるのではないだろうか。大人と違って社会文化に染まっておらず、心の機微をストレートに表現する子供の研究をすることこそが人間の根源的な行動原理を学ぶことにつながるのではないかと考えられる。
論証・・・
上記の内容について研究するために、過去の幼児に関する先行研究を学ぶことから始める。その上で自分独自の仮説を立てて、その仮説を検証するために実験を行うことを予定している。
結論・・・
上記について貴学文化構想学部にて発達人類学に精通した大薮泰教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
大藪 泰「赤ちゃんからの発達心理学−言葉の獲得の基礎にあるもの−」発達教育15(1)p.6 – 71996年01月-
大藪 泰「赤ちゃんの模倣行動の発達−形態から意図の模倣へ−」バイオメカニズム学会誌29(1)p.3 – 82005年02月-
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