早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(和田琢磨ゼミ向け)

■議論の整理

天皇を語ることは難しい。明治以来の小説の中に不敬小説と呼ばれるものがある。天皇を語ることがタブーとされている時代に、それでも天皇を語っていこうとする小説たちは、保守の人々から冷遇され、筆禍事件まで起こしているほどだ(深沢七郎「風流夢譚」など)。天皇についてそれがどのような小説であってもパロデイ化して提示することは難しい。

 

■問題発見

ことに戦時中には、天皇を言祝ぐために文学的言辞や芸術的作品は作られたのだから、その残滓が現代に残っていてもおかしくはない。表現の自由とは言っても、いまだに天皇批判は根強い批判者がいる。でも、古典の世界ならばどうか。

 

■論証

『太平記』は為政者・権力者を厳しく批判する南北朝時代の文学作品である。これらは、天皇と対峙する当時の文脈において書かれたもので、北条氏の後ろ盾がなければ書けないきわめて政治的な文学作品だと読むことができる。このような政治と文学というつながりが、むしろ近代よりも強い要素を持つものが、古典文学には多数存在し、それらを通じて天皇と文学という領域を掘り下げることはとても有意義な作業だ。

 

■結論

上述した『太平記』であれば、後醍醐天皇の独断と偏見による政治への介入や、気に食わない内容に関して無視を決め込むような内容が散見される※1。これらは当時の権力者を批判する文脈で描かれているため、それなりのバイアスがかかったものとして読むべきだが、天皇と文学を考える文脈で非常に興味深い。

 

■結論の吟味

『枕草子』や『源氏物語』は直接的ではないにせよ、当時の貴族の文化、ないし中宮の身近の文化を描いている。文学は天皇と密接につながっている政治的な道具であり、権力争いに使用される重要な教養だ。今の私たちは、内面の自由のため、主体のため、社会的正義のためなどに文学が援用されることが大義名分として挙げられるが、私たちが文学を書くのとはまた違う言説の布置を持つ、当時のエピステーメーの中で天皇と文学を探究してみたい。以上のような見取り図のもと、貴学での研究に専念したいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1和田琢磨「乱世を彩る独断――『太平記』の天皇たち――」『東洋通信』63(6) 東洋大学通信教育部 2017

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