早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(田中史生ゼミ向け)

■議論の整理

日本の古代の歴史にはいまだに謎が多い。日本の南と北は、琉球王国とアイヌがおり、長らく交流していないものだと考えられていた。しかし海を隔てた島と島はネットワークを結び、交流していた可能性が出てきている。そこには古代日本と周辺諸国との交流を考える糸口が眠っているかもしれない。

 

■問題発見

琉球王国と古代日本との結びつきを研究したものによれば、南にしか存在しないような交易品が東北地方で見つかっている事実に照らし合わせて、当時の交易の可能性を検討分析している。そして、「11世紀前後にはこうした広域活動を行う日本商人も登場し、石江遺跡群や城久遺跡群の近傍に姿をあらわし、北と南を国際交易と結びつけていたとみられる」※1と述べ、広がりをもった活動が多く合ったのではないかと結論付けている。

 

■論証

それでは、この事実が今までどうして浮かび上がってこなかったのかという問いを立てることができるだろう。琉球王国を併合し、アイヌを吸収した日本は、単一民族神話を長らく提唱してきた。ネイションはもともと一つでなければならず、彼らの人権を尊重するために、過去の歴史を紹介することはするが、文化的な交流として対等であったことに対するある種のオリエンタリズムが働いていると考えることもできるが、慎重に議論を進める必要があるだろう。

 

■結論

いずれにせよ、新たな交流史が描き出されるのであれば、それが今まで抑圧されてきた歴史観が存在することになり、その抑圧の内実まで含めて考察することが歴史家の仕事だと私は考える。歴史によって新たな像が結ばれるとき、そこには新たな生が見つかるかもしれない。そのような現場に私も携わりたいという強い希望がある。

 

■結論の吟味

歴史は、一筋縄ではいかない。事実は一つではないかもしれず、事実は隠蔽されているかもしれない。新たな事実が見つかれば、今までの事実がすべて覆ってしまうかもしれない。それでも歩みを止めず、新たな生を見つけ出し、磨いて日の目にあてること。そのような作業に私も執心してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1田中史生「国際交易と列島の北・南」『専修大学社会知性開発研究センター古代東ユーラシア研究センター年報』2 2016

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