上智大学 文学部フランス文学科 AO入試 永井敦子ゼミ向け

  • 議論の整理

私は『溶ける魚』を読み、シュルレアリスムの持つ魅力を知った。私にとってシュルレアリスムの魅力とは、論理的思考や美意識などの埒外で自由に生み出される芸術の奔放さだけではない。むしろ、無意識のうちに表れるイメージを意識的に理解しようとする際にこれまで自分の中になかった新しい審美的視点を獲得できることが私にとっての魅力の大部分を構成している。その意味で、私はシュルレアリスムが誕生した背景にも興味を抱いている。

  • 問題発見

『溶ける魚』の著者であるアンドレ・ブルトンはこのジャンルを確立した先駆者であり、「シュルレアリスムの法王」とも呼ばれているが、彼が自身に多大なる影響を与えたと自ら述べているジャック・ヴァシェについては史料の少なさもあって研究があまり進んでいない。ヴァシェはブルトンが公開した書簡『戦場からの手紙』によって広く名を知らしめたこともあって、ブルトンとの関係という観点から論じられる場合が多い。しかしながらヴァシェがブルトン以前から創作活動を行っていることを考えれば、彼自身の作家性をブルトンから切り離して考えることが必要ではないだろうか。それはシュルレアリスムが生まれた出発点を探ることと同義であると言える。

  • 論証

ヴァシェの手紙からは第一次世界大戦という極限の状況の中で精神を疲弊させていく彼の姿が浮かびあがってくる。これを以て、戦争以前と以後のヴァシェを別人として捉えようとする論が存在するが、後藤はこれに対し反駁している。その論によれば、彼が精神を保つためにすがったものが「黒いユーモア」であり、大戦による変容を経たものの、ヴァシェの作家性は一貫しているという。そこで、本研究では精神の防御策としてのユーモアという観点から、これがヴァシェの作品にどのように反映されているのかを分析したいと考えている。

  • 結論

上記研究を行うにあたって、これまで貴学において主にシュルレアリスムに関する優れた論考を執筆してきた永井教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

後藤美和子 (2016) 「ジャック・ヴァシェの争奪-「アンドレ・ブルトンなしに,ジャック・ヴァシェは何者であり得たか?」『学苑』 905, 19-31

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