上智大学 文学部フランス文学科 AO入試 福田耕介ゼミ向け

  • 議論の整理

フランソワ・モーリヤックが日本の作家に与えた影響は大きい。遠藤周作が彼の作品に深い感銘を受け、『テレーズ・デスケルー』を自身が最も惚れ込んだ作品だと語っていることは有名であるが、事実、端正な筆致によって人間の後ろ暗い感情までをも余すところなく描き出すモーリヤック作品の影響を遠藤作品にも見て取ることができる。そんなモーリヤックに大きく影響を受けていると作家のひとりに堀辰雄がいる。堀の作品である『菜穂子』に『テレーズ・デスケルー』との多くの相似点があることは既に指摘されていることではあるが、堀はモーリヤックから小説を執筆するにあたっての方法論を学んだということもできる。

  • 問題発見

福田教授はこのような『菜穂子』と『テレーズ・デスケルー』との類似でしばしば見落とされがちな、回想という手法を用いた構成について、それぞれの作品における回想の場面をテクスト分析して、堀がモーリヤックから学んだことをどのようにして自らの作品に取り入れたかを検討している。そこで分かったのは、『菜穂子』における「生活に汚されない上流社会の美少女」を取り巻く周囲の像が『テレーズ・デスケルー』のイメージと反復することによって物語の今後をほのめかすという効果である。堀はこのような効果を自覚的に狙っていたのであろうか。

  • 論証

私は堀が『テレーズ・デスケルー』に漂うロマンに関する問題をどう乗り越えるのかという問いの果てに、『菜穂子』を生み出したと考える。その答えとして堀は情熱を拒絶した先に存在する生を描いたのである。この回答に説得力を持たせる為に、人間の持つ情熱を客観的に描くことのできたモーリヤックの筆致が必要なのであり、堀の中でこの援用は『菜穂子』のテーマの根幹に関わる問題ではない。本研究ではこの仮説を踏まえつつ、堀作品とモーリヤック作品の相互関係について詳細に検討していきたい。

  • 結論

上記研究を行うにあたって、これまで貴学において主にモーリヤック作品に関する数多くの論文を執筆してきた福田教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

福田耕介 (2015) 「堀辰雄「菜穂子」とフランソワ・モーリヤック『テレーズ・デスケルー』-回想をめぐって」『白百合女子大学研究紀要』 50, 21-40

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