上智大学 文学部フランス文学科 AO入試 博多かおるゼミ向け

  • 議論の整理

19世紀のフランス小説の中でパリという舞台装置が持つ役割は広く大きい。それは多くの若者が夢を追って目指す場所であり、様々な性格を持った人間が跋扈する街の中で苦汁を舐めながら社会の規範を学ぶ場所でもある。特にバルザックはパリという街を描くことに長けていた作家である。彼の『人間喜劇』には社交界での成功を夢見て地方からやってくる若者が多く登場するが、主人公である彼らもまたパリという街の中では常に無名の群集の一人にすぎない。

  • 問題発見

バルザックをはじめとするロマン派の作家は、野心のある若者でさえも無個性性の中に押し込めてしまう大都市の効果を意識的に自らの作品世界に取り入れている。博多教授の論によれば、彼らの作品に登場する人物はむしろ巨大なパリという存在と対峙することによって内面の多様性を表出するという。脆弱な自我の問題は近現代に生きる読者自身の問題にも直結し、そのことが作品のドラマ性を増加させる。それでは、バルザックが描くパリの街に存在する物体は、作品の中でそれぞれ具体的にどのような役割を果たしているのだろうか。

  • 論証

博多教授はパリの夜の街路に着目し、暗い街路を進み、恋人が待つ室内へ向かう行程において登場人物が恋をしている自己と向き合うことを指摘する。この内面化は街路の景色や音や匂いの知覚を通して行われる場合が多く、感覚と想像力との混成によって若者の情熱はより鮮烈に読者にも提示される。本研究では五感の一つである聴覚を対象にして、パリの街頭の雑音がバルザック作品世界においてどのような効果をもたらしているのかを検討したい。

  • 結論

上記研究を行うにあたって、これまで貴学において主にバルザックやフローベールなどのフランス小説に関する数多くの論文を執筆してきた博多教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

博多かおる (2008) 「バルザック、フローベール作品における街路と「感情教育」」『東京外国語大学論集』 77, 95-115

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