2019年 上智大学海外就学経験者入学試験 文学部・哲学科 小論文 解答例

議論の整理

この文章は、政治を営むこと、国民が参画することの意義を、キリスト教的な世界観のなかで論じている。人間は創造主により平等につくられている。それを維持するために樹立されたのが政府だ。そのため、不平等を生み出すようになったら、それを廃止する権利もある。軽々しく政府が変わることは望ましくないため、ある程度の忍耐を国民は求められる。しかし、耐え難いものがあったら、新たな組織を作ることが人間の権利なのである。

問題発見

この文章には3つの哲学的問いが含まれている。(1)平等とは何か。(2)幸福を追求する権利とは何か。(3)権力とは何か。私は3つの問いのなかで(2)について論じる。

論証

幸福を追求する権利とは、多くの国で憲法上保障されている。しかしながら、そもそも幸福とは何か、それを追求する行為とは何かなど、本質的な問いについて考える機会はほとんどない。権利としては保障されているものの、それを実現する方法をほとんどの人は知らないのだ。

かつての日本では、マイホームを持つ、結婚して子どもを産む、豊かな生活をするなど、幸福のかたちがはっきりしていた。最近は、それらは必ずしも幸福の形ではないと認識されつつある。そこで、自分が考える幸福を追求しようとチャレンジする人もいるが、制度の壁にぶつかる、生活が困窮するというのが現状である。

幸福を追求する権利は、個人の心のなかに芽生えつつあり、実現に向けた動きが増えている。今はまさに、幸福を追求する権利とは何かが、大きな問いとして浮かび上がっている。ただ同時にジレンマも生じているというのが現状だ。

結論

幸福を追求する権利は、権力を有する組織が保障してはじめて意味を持つ。現代の日本は、憲法上は権利として保障されているが、実際に幸福を追求する環境があるとは言えない。

吟味

哲学的問いを現代に生かすためには、その本質を解明するとともに、憲法と政治の問題をあわせて考える必要があるだろう。(805文字)

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