設問
次の文章は、2016年8月6日の朝日新聞夕刊に掲載された評論家・宇野常寛氏のコラムです。これを読み、著者の主張をまとめたうえで、「外部を失ったグローバル化以降の世界」の特徴や「世界変革のビジョン」について、あなたの考えを論じてください。(800字)
議論の整理→現代社会で虚構が果たす役割
ポケモンゴーやイングレスといったゲームが世界的に大ヒットをした理由を、筆者は「人間の地理と歴史への感度、世界を見る目を鍛える行為」であると分析し、「いま、ここ」にある多様性を把握できるようにした点を評価している。そして現代において、インターネット上の世界など、「虚構」が果たすべき役割は、「「いま、ここ」を重層化し、世界変革のビジョンを現実に示すこと」だと述べている。
問題発見→具体的に何を言っているのか?
それでは具体的に、筆者が述べている世界とはどのようなものだろうか。
論証→インターネットと人間の関係の変遷
インターネットが登場しはじめたとき、人々は新たなフロンティアをみた。現実の地球上はほぼすべて人の手によって開拓され、前人未到のフロンティアが存在しているとは言い難くなっていた。そのような状況下、インターネットはネット上に莫大な仮想空間を作った。様々なホームページが作られ、リンクが貼られ、オンラインゲームが登場し、まさに仮想現実がうまれた。そしてその後、さらにソーシャルネットワークサービスの登場により、人々は現実の家族や友人とインターネット上でも繋がるようになった。現在では、ソーシャルネットワークサービスを通じたコミュニケーションがないと、現実の人間関係すら成り立たなくなっている。現実と虚構が相互依存しているいま、もはや内と外を区別することが難しくなった。この状況が「外部を失ったグローバル化以降の世界」であり、「いま、ここ」を見る視点を変えていくしかないのである。
解決策or結論→虚構と現実の相互依存
ポケモンゴーやイングレスが、実際に人々を外の世界に出したことで、現実の世界を見る視点が変わった。ポケモンを捕獲する際には、カメラを通して現実の世界で元気に飛び跳ねるポケモンを見ることができ、まさに現実と虚構が相互依存しているようになった。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
現実と虚構が重層的になっているいまこそ、ビジョンとして人々に新しい価値観を提示し、世界を見る目をどのように作るかが、求められているのではないだろうか。(796字)
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