上智大学 文学部 新聞学科 外国人入試 2016年 小論文 解答例

設問

以下のテーマについて、1000字程度で作文を書きなさい。

「対 話」

議論の整理→「対話」の定義

私たちは毎日、様々な人間と言葉を交換している。これには「会話」もあれば「演説」や「独り言」、そして「対話」などが含まれている。しかし改めて考えてみると、「対話」と「会話」にはどのような違いがあるのか判然としない。

問題発見→「対話」と「会話」の違いは何か?

では「対話」と「会話」の違いは何で、それぞれどのような機能を持っているのだろうか。

論証→友人との「会話」と哲学の「対話」

「会話」とは、私たちが友人や知人らとかわす日常コミュニケーションだといえると思う。これは既知の間柄の人間同士が、情報を交換しつつ、互いの繋がりを確認する作業とも言い換えることができるだろう。たとえば休日の出来事を友人に共有したり、共通の知人の噂話をしたり、自分の感情や経験を友人に伝えたりする。つまりこれらのコミュニケーションは、意見交換というよりは「合意形成」を目的としたものだといえるだろう。特段有益な情報はないものの、コミュニティの一体感を増やすことができるのが「会話」の機能の一つである。
では、「対話」とは何であろうか。たとえば古代ギリシアのプラトンは「対話篇」で有名であるし、諸子百家の著作にも対話篇として描かれているものが多い。つまり古代から「対話」とは哲学に関係の深いものであったということができるだろう。対話とは、意見の異なる者同士が相手の主張に耳を傾け、意見の違いを踏まえて合意形成を作っていくプロセスのことだといえる。「会話」が意見の差異を消去するのに対して、「対話」は差異が当然の前提として存在するのである。プラトンは論的の意見を否定するのではなく、いったん受け入れたうえで自らの主張を展開していった。このようなことから、「対話」と「会話」はコミュニケーションの目的が全く違うということができるのではないだろうか。前者は同質的な者同士の連帯感を醸成するために作られ、後者は差異をもとに新しい合意を形成しようとするものである。

解決策or結論→「対話」と「会話」は目的が異なり、「対話」は差異を前提として行うものである

このように考えると、日常世界では「会話」が多く「対話」が少ないかわかる。自分と異なる意見と向き合うのは恐ろしいことだ。特にインターネットが発達し、多様なコミュニティを自ら探すことができる今、あえて自分と意見が異なる人と語る必要はない。しかしこのように「対話」を拒否する態度こそが、結果的には他者を排除に繋がるのだ。

解決策or結論の吟味→結論を吟味する

「対話」を敢えて積極的に行うことで、自分の価値観が浮き彫りになり、変化をすることにもなる。だからこそ「対話」は重要だといえるのではないだろうか。(999字)

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