2020年 上智大学編入学試験 文学部・新聞学科 小論文 解答例

議論の整理(要約)

近年、若者のテレビ離れが進んでおり、YouTubeなどのインターネット動画をメインに視聴される傾向がある。また、東日本大震災の反省などから、地震や台風などの大型災害が起こったとき、状況をすぐに把握できるように、ニュースへのアクセス方法の多様化が求められるようになった。

このような流れを受けてNHKは、災害報道や大型スポーツイベントに限定して、テレビ放映とネット配信を同時に行う常時同時配信サービスを、2014年から提供してきた。さらに2019年には、テレビの常時同時配信の対象がすべての番組に拡大され、さらなるサービスの展開が期待されている。

問題発見

テレビの常時同時配信は、NHKと民放の対立を浮き上がらせたが、本当の課題はインターネット動画の存在なのではないだろうか。

論証

NHKは民間のスポンサーをつけておらず、受信設備を設置している家庭からの受信料により運営されている。それに対して民放のテレビ局は、企業や団体からの広告収入により運営されているという違いがある。そのためNHKはCMがなく、民放はCMが入るのみならずスポンサーの意向が番組に反映されることも少なくない。

民放連は、NHKがテレビの常時同時配信を展開することを受けて、民放を圧迫する取り組みであると批判した。NHKがテレビの番組をインターネットで同時に配信することで、民放離れを加速させると考えたからだ。しかしながら私の印象では、NHKのテレビの常時同時配信により、民放の番組が観られなくなっていることはない。

浮かび上がっている課題は、NHKと民法の問題を越えた、テレビ業界全体の視聴者離れである。子どもはテレビよりもYouTubeを視聴している時間のほうがはるかに長い。大人についても、現役世代はYouTubeに加えて、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオを視聴する割合が増えている。つまり、NHKだろうと民放だろうと、地上波の番組そのものが観られていないのである。

結論

現在のテレビ業界は、テレビの常時同時配信について、地上波同士の競争として議論してきたが、本当に意識しないといけない相手はインターネットである。そこで、NHKか民放かに関わらず、インターネットの動画ユーザーをどのように地上波に取り込むのか、考えていく必要がある。

吟味

民放は、テレビの常時同時配信が十分に浸透していない。YouTube等で流しても、必要な広告収入を挙げられないことが一因とされている。そこで、連続ドラマやバラエティー番組の一部をYouTubeで無料公開し、有料メンバーに全編を公開するなど、収益化の手段を増やしていくことも、テレビ離れに対する対応となるのではないだろうか。(1066文字)

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