上智大学 総合人間科学部 特別入試 志望理由書 提出例(岡知史ゼミ向け)

■議論の整理
日本における近年の福祉政策の充実は目覚ましく、乳幼児から高齢者まで、各発達段階や様々な課題へとその対象領域を広げている。一方で、福祉の現場における専門家と受け手の側の認識の相違や、パターナリズムとも呼べる関係性の問題は今も改善の模索の途上にある。

■問題の発見
ある朝、テレビから流れてきた「不登校の子どもは支援されることに慣れすぎている」という言葉が耳に残った※1。それは不登校問題に取り組んできた広島県の教育長の言葉だったが、同じことは福祉の現場にも当てはまる。様々な施策を導入してきた教育長はまた、「不登校の子ども同士が語り合うことで、自分の経験が周りの役に立つという経験も大事」と語り、フリースクールでの当事者交流会の映像も流れていた。それを見て、以前から関心のあった当事者の自助グループの営みの中に、福祉と当事者の硬直した関係を改善するための鍵が見出せるのではないかと考えた。

■論証
社会福祉が当事者との関係をどのように捉えて表象してきたか。その歴史的変遷を分析した岡教授※2によると、「救う」から「助ける」、さらに「支える」といった変遷が見られるが、ほとんどが専門家と当事者の力の差、当事者の無力さを前提としている。そして自死遺族の自助グループのような「新しい当事者」の登場を受けて、従来型の社会的弱者のイメージや表象をさらに変える必要があると指摘する※2。私も、社会福祉は当事者と専門家の「協働」であり、協働に向かうためには対等な関係作りは喫緊の課題であると考える。

■結論
そこで、社会福祉の現場や当事者自助グループの動向に学びつつ、社会福祉における専門家と当事者の協働にむけて、その阻害要因と促進要因について分析し、改善のための提言につなげていきたい。

■結論の吟味
上述の研究を行うために、国内外の様々な自助グループから学び、日本の福祉分野に貴重な提言をしてきた貴学の岡知史教授のゼミに入会し、学ぶことを強く希望する。

※1 プレミアトーク 平川理恵 NHKあさイチ https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/200207/1.html
※2 岡知史(2014) 「当事者が開く福祉₍当事者福祉論₎の確立に向けてのメタファー分析 「救う」から「助ける」、そして「支える」、さらに「学びあう」へ」
日本社会福祉学会第62回秋季大会₍早稲田大学₎ 2014.11.29-30

AO入試・小論文に関するご相談・10日間無料添削はこちらから

「AO入試、どうしたらいいか分からない……」「小論文、添削してくれる人がいない……」という方は、こちらからご相談ください。
(毎日学習会の代表林が相談対応させていただきます!)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です