慶應SFC 環境情報学部 AO入試 志望理由書 提出例(徳井直生研究会向け)

■ 議論の整理・・・

将棋AIが将棋名人のプロ棋士に完勝して以来,プロ棋士の間でAIを活用した棋譜研究が盛んとなった。これは,あるルールの下で,勝利に至る秩序(手筋)を見つけ出すためにAIを利用した例である。一方,これとは逆に,人間がこれまでに創作し得た秩序を破るためにAIを利用することもできる。AIの意外性に着目し,AI独自の解釈が人間の創造性にインパクトを与えることを求めて,音楽や映像の領域でさまざまな表現に挑戦しているのが,貴学環境情報学部の徳井直生准教授である。AIのインパクトを表現の世界に持ち込む狙いから,コンピュータシミュレーションを使ってユーザーの想像を超えたサウンドやリズムを生み出す研究(*1)~(*3)や,人類の歴史をAIに読み込ませて解釈させ,その結果を映像化する研究(*3)など,数々の実績がある。

 

■ 問題発見・・・

知識とロジックをベースにした従来のAIが“左脳的”であるのに対し,AIが飛躍的に進化するきっかけとなったディープラーニング(深層学習)による学習能力をもったAIは“右脳的”だといえる。たとえば人が音楽を聞いた時に感じる印象まで数値化して再現することもできる。また,膨大なデータ(ビッグデータ)の中から人間がまったく気づかないようなものまで抽出することもできる。

 

■ 論証・・・

一方で,AIが誤解釈して抽出したデータを基にしたため,ポイントがズレた映像や音楽が生成されることが稀にある。そのズレもまた芸術性の一部を成す。人間では想像もつかないような意外性を求めて,人とAIが一緒に仕事をすることにもまた意味があり,それが新たな芸術を生むきっかけともなる。芸術家がAIを利用して表現の幅を広げていく様は,プロ棋士が将棋AIを利用し新手筋を生み出す様に似ている。AIが人間の能力の限界を引き上げていると見ることもできよう。

 

■ 結論・・・

そこで,AIを活用した表現力の拡張性を専門に研究している貴学環境情報学部の徳井直生准教授に師事し,稀代の奇人とされる人間や奇想天外な着想をすると言われる人間ですら創造できないような芸術作品をAIで創作したいと考えている。

 

■ 結論の吟味・・・

貴学の徳井直生准教授の作品には,AIを利用して芸術的創造性における人間(の表現力)の殻を破ろうという芸術的野心が感じ取れる。そこで,上述の研究作品を生み出すのに最適の環境を求めて,貴学SFCの徳井直生研究会に入会することを強く希望する。

 

 

 

(*1) 徳井直生,伊庭斎志.“SONASPHERE-動的な 3 次元インタフェースを用いたインタラクティブな音楽システム”,情報処理学会研究会報告MUS,Vol.52, No.2, pp.21-28, 2003

(*2) 徳井直生,伊庭斎志.“生成的な音響ソフトウェア作品” Biosphere of Sounds””,芸術科学会論文集, Vol.3, No.2, pp.178-184, 2004

(*3) 徳井直生.<https://naotokui.net/works/ >

 

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