慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(杉木 明子研究会向け)

■議論の整理

2000年代半ば以降、アデン湾・ソマリア沖で急増した海賊問題は、海賊の取締や処罰を国際社会に問い直す問題である。海賊の不処罰が顕在化する中で新たな対応に迫られた国際社会は、様々な選択肢の中で拿捕国が拘束した海賊被疑者をソマリア近隣諸国へ引渡し、第三国が普遍的管轄権のもとで訴追・処罰する「地域訴追モデル」を次善策とみなした。ケニアはソマリア近隣諸国の中で最も多くのソマリ海賊被疑者を受入れ、処罰してきた。

ケニアにおける海賊裁判は、普遍的管轄権を適用して多くの海賊被疑者を訴追し、処罰した先駆的事例となった。しかし、地域訴追モデルが海賊を訴追・処罰する司法機能を担うには様々な問題がある。

第一に、海賊被疑者受入国の政治的意思である。地域訴追モデルが機能するには、多くの国が実際に拿捕された被疑者を受入れ、普遍的管轄権に基づき海賊を訴追、処罰することが必要である。第二に、海賊裁判実施国における負担である。第三に、訴追国における海賊に対する量刑の差異である。第四に、海上で実際に海賊もしくは武装強盗に関与し、拘束された実行犯のみが訴追され、処罰されることである。地域訴追モデルでは、海賊集団のリーダー、資金提供者、ネゴシエーターといった海賊ビジネスを計画し、指揮し、最も利益を得る責任者を逮捕し、訴追することができない。第五に、地域訴追モデルが機能するための各国に対する負担と普遍的管轄権の行使のバランスである(*1)。

 

■問題発見

ここで、海賊および海上犯罪を処罰するためにどのような取り組みを行うかに対する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

「航行の自由」に関して、海賊問題、海上テロ、海上犯罪などに対処するため、海洋の自由の原則から 旗国主義(但し、海賊行為に対しては旗国主義の例外として普遍的管轄権)へ移行し2005年のSUA 条約改正議定書制定のように更なる管理が模索されている。アフリカ連合で、2009年10月に「アフリカ海運憲章(African Maritime Transport Charter)」を採択し、「2050 年アフリカ統合海 洋戦略(2050 Africa’s Integrated Maritime Strategy)」を打ち出したように、アフリカ諸国も「海洋の管理」の重要性を認知している。

しかし、アフリカではソマリア沖海賊問題が顕在化するまで、海賊問題や海上安全保障に関する関心は相対的に低く、これらの問題の対策は殆ど講じられてこなかった。第一義的には海賊拠点国が海賊を処罰 することが望ましいが、海賊ビジネスが繁栄するのは、海賊の拠点地域がいわゆる「破綻国家」、「脆弱国家」といわれる統治・司法機能が欠如、もしくは脆弱であることが多いため、そうした国々に取締・処罰を期待できない。また地域訴追モデルでは海賊行為の処罰に完全には対処できない。

したがって、海賊行為の広域性、海賊処罰が国家の裁量に委ねられている現状、地域訴追モデルの問題等を考えると、国際レベルもしくはアフリカ地域、又は準地域レベルで集権的な裁判所の新設、あるいは既存の地域裁判所の利用を検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこで、準地域レベルで集権的な既存の地域裁判所政府の活用モデルを考案し、アフリカと同じ海洋国家である日本でも活用できるような地域訴求モデルにつながる方法論について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し、現代アフリカ政治を専門に研究している杉木明子教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1杉木明子(2016)「誰が『海賊』を処罰するのか?–『地域訴追モデル』とケニアにおける海賊裁判」アフリカレポート

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