慶應義塾大学 法学部 FIT入試 A方式 2014年 論述問題 解答例

■設問

模擬講義の概要
講義のテーマ:異文化接触と情報 -歴史的見地からの検討-
講義の概要:
はじめに
開国前の日本と異文化接触のあり方
鎖国の目指したもの
開国へ向けての「情報戦」
開国後の日本と異文化接触
居ながらにして異文化を知ること・知らしめること
むすび
*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(50分)を行う。
論述形式試験の概要
論述の設問内容:
講義の内容を10行程度に要約しつつ、「異文化接触と情報」について考える際に、歴史の中のどのような部分から現代にも通用する教訓を引き出せるか、できるだけ具体的に論じなさい。

■答案構成

5STEPで書く

議論の整理→講義の内容のまとめ

問題発見→現代の日本において、海外の良さを取り入れる姿勢が薄い

論証→日本の国際競争力は落ちるばかりである

結論→謙虚な姿勢で海外の良い情報を得る必要がある

結論の吟味→情報を得た先での行動

■答案

議論の整理→講義の内容のまとめ

江戸時代、日本は鎖国政策を行っていた。これは、海外との交流を管理、制限したものであり、日本は自ら孤立する道を選んでいた。江戸幕府が鎖国を推し進めた背景にはキリスト教を禁止することがある。鎖国をする以前、フランシスコ・ザビエルにより、日本にキリスト教が布教された。キリスト教は九州を中心にひろがり、大名にもひろがっていった。そのようなキリシタン大名がポルトガルやスペインと結びつき、幕府に反乱する可能性を排除するために、江戸幕府は鎖国という選択をした。鎖国をしている間は多くの情報の流入が統制される結果となった。1853年、ペリー率いる黒船来航を機に、日本は開国する運びとなった。開国に伴い、日本には多くの情報が流入することとなった。その中で、積極的に使節団や留学生を派遣することで、日本は外国の良いところを取り入れながら成長していった。

問題発見→現代の日本において、海外の良さを取り入れる姿勢が薄い

しかし現代の日本においては、海外の良さを取り入れる姿勢がかなり薄まってしまっている。具体例を2つ挙げる。1つ目の例は日本的経営の問題である。日本的経営の中で一番大きな問題となるのは、良い商品を作れば売れるという考えを持っていることである。確かに質の良い商品を作ることで消費者満足を勝ち取ることができるのは事実であろう。10~20年前の日本メーカーは世界的にもかなり高い地位を得ていた。しかし、アップル、マイクロソフト、サムスンなど多くの海外メーカーがシェアを高めている。もちろん、それらの企業が作る製品は質が高いものである。しかし、それは日本メーカーの作る製品の質も同じである。ここにおいて、決定的な差となったのは、広告の仕方だ。海外メーカーは自分たちの製品の良さをアピールした一方で、日本メーカーは「良い商品を作れば売れる」という考えに固執して広告に手を抜いた。その結果、現在のように、日本メーカーが落ち込むことになった。この現状は、ガラパゴス化と揶揄されている。海外メーカーを見習って広告などに力を入れることでこのような問題は解決される。2つ目の例はキャッシュレス化である。キャッシュレスとは、現金ではなく、クレジットカードや電子マネーなどで決済を行うことである。欧米や北欧など、多くの先進国においてはキャッシュレス化が進んでいる。中国はキャッシュレス社会の典型例であり、小さな個人商店でさえ、QRコードなどによるキャッシュレス決済が可能となっている。キャッシュレス化を進めることによって、決済の効率化や利便性の向上制が見込めることはもちろん、現金決済による業務の削減や犯罪の抑止など多くのメリットが得られる。しかし、日本において、キャッシュレスはなかなか進んでいないのが現状である。首都圏などでは少しずつ進んできているが、その他の地域ではキャッシュレス決済がほとんどできない。キャッシュレス化を推し進めないことで、上記のメリットを享受できないことはもちろん、キャッシュレス社会の国家からの観光客の減少が考えられる。なぜなら、母国で現金を持たずに生活している人にとっては、キャッシュレス決済ができない日本は利便性の低い国に他ならないからだ。

論証→日本の国際競争力は落ちるばかりである

上記の2つの例からわかるように、現在の日本は海外の良いところを取り入れる姿勢が薄い。このような現状が続いてしまうことは、日本の国力や国際競争力を低めてしまうことにつながる。ただでさえ、人口減少により日本の衰退が予想される中で、このような現状を看過することはできない。

結論→謙虚な姿勢で海外の良い情報を得る必要がある

開国直後の日本は、謙虚な姿勢で海外の情報を受け入れていた。現代の日本でも、その姿勢を見直して、海外の良い情報を積極的に取り入れるべきであると考える。

結論の吟味→情報を得た先での行動

もちろん、情報を得るだけでは意味がない。情報を得た上で、その情報を活用するべきである。その活用とは、具体例で挙げたように、日本を良くする方向に導くだろう。

江戸時代、日本は鎖国政策を行っていた。これは、海外との交流を管理、制限したものであり、日本は自ら孤立する道を選んでいた。江戸幕府が鎖国を推し進めた背景にはキリスト教を禁止することがある。鎖国をする以前、フランシスコ・ザビエルにより、日本にキリスト教が布教された。キリスト教は九州を中心にひろがり、大名にもひろがっていった。そのようなキリシタン大名がポルトガルやスペインと結びつき、幕府に反乱する可能性を排除するために、江戸幕府は鎖国という選択をした。鎖国をしている間は多くの情報の流入が統制される結果となった。1853年、ペリー率いる黒船来航を機に、日本は開国する運びとなった。開国に伴い、日本には多くの情報が流入することとなった。その中で、積極的に使節団や留学生を派遣することで、日本は外国の良いところを取り入れながら成長していった。しかし現代の日本においては、海外の良さを取り入れる姿勢がかなり薄まってしまっている。具体例を2つ挙げる。1つ目の例は日本的経営の問題である。日本的経営の中で一番大きな問題となるのは、良い商品を作れば売れるという考えを持っていることである。確かに質の良い商品を作ることで消費者満足を勝ち取ることができるのは事実であろう。10~20年前の日本メーカーは世界的にもかなり高い地位を得ていた。しかし、アップル、マイクロソフト、サムスンなど多くの海外メーカーがシェアを高めている。もちろん、それらの企業が作る製品は質が高いものである。しかし、それは日本メーカーの作る製品の質も同じである。ここにおいて、決定的な差となったのは、広告の仕方だ。海外メーカーは自分たちの製品の良さをアピールした一方で、日本メーカーは「良い商品を作れば売れる」という考えに固執して広告に手を抜いた。その結果、現在のように、日本メーカーが落ち込むことになった。この現状は、ガラパゴス化と揶揄されている。海外メーカーを見習って広告などに力を入れることでこのような問題は解決される。2つ目の例はキャッシュレス化である。キャッシュレスとは、現金ではなく、クレジットカードや電子マネーなどで決済を行うことである。欧米や北欧など、多くの先進国においてはキャッシュレス化が進んでいる。中国はキャッシュレス社会の典型例であり、小さな個人商店でさえ、QRコードなどによるキャッシュレス決済が可能となっている。キャッシュレス化を進めることによって、決済の効率化や利便性の向上制が見込めることはもちろん、現金決済による業務の削減や犯罪の抑止など多くのメリットが得られる。しかし、日本において、キャッシュレスはなかなか進んでいないのが現状である。首都圏などでは少しずつ進んできているが、その他の地域ではキャッシュレス決済がほとんどできない。キャッシュレス化を推し進めないことで、上記のメリットを享受できないことはもちろん、キャッシュレス社会の国家からの観光客の減少が考えられる。なぜなら、母国で現金を持たずに生活している人にとっては、キャッシュレス決済ができない日本は利便性の低い国に他ならないからだ。
上記の2つの例からわかるように、現在の日本は海外の良いところを取り入れる姿勢が薄い。このような現状が続いてしまうことは、日本の国力や国際競争力を低めてしまうことにつながる。ただでさえ、人口減少により日本の衰退が予想される中で、このような現状を看過することはできない。
開国直後の日本は、謙虚な姿勢で海外の情報を受け入れていた。現代の日本でも、その姿勢を見直して、海外の良い情報を積極的に取り入れるべきであると考える。
もちろん、情報を得るだけでは意味がない。情報を得た上で、その情報を活用するべきである。その活用とは、具体例で挙げたように、日本を良くする方向に導くだろう。

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