慶應義塾大学 法学部 FIT入試 A方式 2012年 グループ討論  議論の流れと対策

■設問

グループ討論の概要
テーマ:
『捜査機関による被疑者の取調べに録画を義務づけるどうかに関して』
司会者の有無:監督者は、進行とタイムキーピングのみを行い、受験生の自由な議論にまかせる。
討論時間:約45分

■想定される議論の流れ

取り調べの録画の義務化について議論をしていきます。議論の順番として、まず、メリットとデメリットを挙げます。その後、メリットとデメリットの比較を行い、取り調べにおける録画が必要かどうかを結論づけます。

メリットについて。
メリットは違法な自白を防ぐことができることです。現状の取り調べにおいては、警察が脅迫して被疑者に自白させるというものがあります。これは、本来、罪を犯していない人間が冤罪で捕まってしまう可能性を生んでしまいます。特に、取り調べが長期化したり、検察側が自白を強要したりすることで、被疑者が疲弊していまい、やってもいない罪をしたと自白するということがあります。例えば、最近では電車内などでの痴漢が社会問題として挙げられます。その一方で、痴漢冤罪も存在します。痴漢などしていないにもかかわらず、取り調べで警察に追い詰められて、やっていない罪を認めて痴漢冤罪が成立してしまいます。このような違法な自白は決して許されるべきではありません。取り調べに録画を導入することによって、警察が横暴な態度で被疑者に自白を強要することができなくなるため、このような問題が解決します。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《現在は科学技術の向上などにより、そのような冤罪はほとんど起きないと思います。その点に関してはどうお考えでしょうか?》
確かに冤罪はほとんど起きないような仕組みは出来上がっていると思います。しかし、例に挙げたような痴漢冤罪の場合、状況証拠のみに頼るケースが多いです。そのような状況下で、警察が被疑者に圧力をかけることによって、冤罪が起きる可能性は十分に残っていると言えます。

デメリットについて。
デメリットは検察が都合の良いところだけを裁判に使う可能性があることです。裁判において録画された映像が流れると、それは大きな証拠として機能します。これを検察が逆手に取ると被疑者にとって不利に働きます。なぜなら、検察にとって都合の良い映像だけを切り取って裁判に使うだけで、被疑者の悪印象を創出できるからです。したがって、取り調べの録画を導入することは、被疑者にとって不利な状況を生み出してしまいます。
このデメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《検察官が恣意的に映像を切り取ることで被疑者に不利になるとのことでした。しかし、被疑者側が映像を活用することはできないのでしょうか?》
映像をとる主体はあくまでも取り調べを行う検察官側だと考えられます。したがって、被疑者側に不利な状況が創出される可能性は十分にあります。
《検察官のみが映像を使えて、被疑者側が使えないというのは、被疑者側にあまりにも不利ではないでしょうか?》
おっしゃるとおりです。このような状態は防がれるべきです。

メリットとデメリットを比較していきます。
メリットとデメリットは被疑者という視点において衝突している議論です。今回の結論としては、メリットがデメリットを上回ると考えられます。デメリットに関して、検察側が恣意的に映像を切り取ることで、被疑者に不利になる可能性があるとのことでした。また、映像の利用は検察側しかできないとのことでした。もちろん裁判の場とは公平な場であるべきです。そうであるならば、検察側しか映像を利用することできないという状況は間違っています。したがって、取り調べの録画を導入する段階で、検察側も被疑者側も両方が裁判において映像を活用できるようにすれば、このようなデメリットは発生しません。その場合、違法な自白を防ぐことができるというメリットのみが起きることになります。したがって、取り調べの録画を義務化するべきです。

■ディベートのコツ

・法律学科

議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、取り調べの録画について論じます。

取り調べの録画の義務化について議論をしていきます。議論の順番として、まず、メリットとデメリットを挙げます。その後、メリットとデメリットの比較を行い、取り調べにおける録画が必要かどうかを結論づけます。

問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。

メリットについて。
メリットは違法な自白を防ぐことができることです。現状の取り調べにおいては、警察が脅迫して被疑者に自白させるというものがあります。これは、本来、罪を犯していない人間が冤罪で捕まってしまう可能性を生んでしまいます。特に、取り調べが長期化したり、検察側が自白を強要したりすることで、被疑者が疲弊していまい、やってもいない罪をしたと自白するということがあります。例えば、最近では電車内などでの痴漢が社会問題として挙げられます。その一方で、痴漢冤罪も存在します。痴漢などしていないにもかかわらず、取り調べで警察に追い詰められて、やっていない罪を認めて痴漢冤罪が成立してしまいます。このような違法な自白は決して許されるべきではありません。取り調べに録画を導入することによって、警察が横暴な態度で被疑者に自白を強要することができなくなるため、このような問題が解決します。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《現在は科学技術の向上などにより、そのような冤罪はほとんど起きないと思います。その点に関してはどうお考えでしょうか?》
確かに冤罪はほとんど起きないような仕組みは出来上がっていると思います。しかし、例に挙げたような痴漢冤罪の場合、状況証拠のみに頼るケースが多いです。そのような状況下で、警察が被疑者に圧力をかけることによって、冤罪が起きる可能性は十分に残っていると言えます。

結論→政策の是非の結論を述べるために、最後にメリットとデメリットを比較しましょう。

メリットとデメリットを比較していきます。
メリットとデメリットは被疑者という視点において衝突している議論です。今回の結論としては、メリットがデメリットを上回ると考えられます。デメリットに関して、検察側が恣意的に映像を切り取ることで、被疑者に不利になる可能性があるとのことでした。また、映像の利用は検察側しかできないとのことでした。もちろん裁判の場とは公平な場であるべきです。そうであるならば、検察側しか映像を利用することできないという状況は間違っています。したがって、取り調べの録画を導入する段階で、検察側も被疑者側も両方が裁判において映像を活用できるようにすれば、このようなデメリットは発生しません。その場合、違法な自白を防ぐことができるというメリットのみが起きることになります。したがって、取り調べの録画を義務化するべきです。

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