■設問テーマ(法律学科):
『日本では、相撲・サッカー・野球などで多くの外国人が活躍し、素晴らしい成績を上げることがあります。外国で活躍する日本人の選手やプレーヤーもいます。しかし、オリンピックなどの国際大会では、選手も観衆も、やはり国家や国旗を意識する場面が多々あります。スポーツと国との関係について議論してください。』
テーマ(政治学科):
『最近のいわゆる「若者ことば」が、伝統的な日本語の美しさ・正しさを損なっているという指摘があります。しかし他方で、言語は時代とともに変化しつつ社会を反映するものであるといった見解もあります。これからの社会と日本語のありかたについて議論してください。』
■想定される議論の流れ
・法律学科
スポーツと国との関係について議論をしていきます。今回は、議論のテーマが幅広いため、話題を絞って議論していきたいと思います。近年では、スポーツを通して国際協力をしようとする団体が増えています。スポーツは言語を必要としないコミュニケーションであるため、国際協力に向いているという意見があります。しがって、日本はスポーツを通した国際協力を推し進めるべきかどうかについて話し合います。議論の順番として、まず、メリットとデメリットを挙げます。その後、メリットとデメリットの比較を行い、スポーツを通した国際協力が必要かどうかを結論づけます。
メリットについて。
貧困地域における若者の社会性育成ができることです。現在、発展途上国の中で、社会構造的な問題が起こっています。それは地域コミュニティの中でのつながりが希薄になっていることです。このことにより若者の社会性が上手く育まれないという事態が起こっています。発展途上国では、物や金を送るという開発援助がなされていましたが、それらの施策は発展途上国側の待つ意識を増大させてしまいます。これにより自ら生活を向上させようという気持ちを刈り取ってしまいます。また、発展途上国では行政によるサポートが薄く、それらを埋めるためのシステムの構築を住民自身で行う必要があります。これらの問題を解決するためには、地域コミュニティにおいて個人同士のつながりや、個人と社会とのつながりが求められます。そのためのファーストステップとしてスポーツが有効に機能します。なぜなら、スポーツを通して周りの人とのコミュニケーションの仕方を学んだり、ルールを守る重要性を学んだりすることができるからです。実際にアフリカなどの多くの国でスポーツによる国際協力が行われています。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《スポーツをするだけで社会性を育むことは可能なのでしょうか?》
可能だと思います。スポーツだけで社会性が完璧に身につくとまでは言えませんが、社会性を育むための環境がない状態の人たちに、その機会をあげられるという点において、以上のメリットは重要だと考えられます。
デメリットについて。
得られるメリットに対してかかるコストが大きいことです。メリットでは社会性を育むということが述べられていましたが、一朝一夕で社会性というものは育まれません。かなり長い時間を要して社会性は育まれるため、スポーツを通した国際協力がそう簡単に効果をあげるとは考えにくいです。そのような小さなメリットのために、多くの人員やお金を割いてまでスポーツに固執する必要はないと思います。従来の通り、物やお金などの支援を続けるので十分です。
このデメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《余計にかかるコストに見合うメリットが無いことが問題ということでしょうか?》
そのとおりです。コストに見合うメリットがない限りは必要ありません。
メリットとデメリットを比較していきます。まず、デメリットの確認を行います。内容としては、既存のコストにさらなるコストがかかってしまうとのことでした。しかし、既存のコストをスポーツによる国際協力のコストに充てることでこのデメリットは防ぐことができます。これにより、既存の国際協力が失われてしまいますが、既存の国際協力は発展途上国にとってマイナスの影響を与えかねないため、失われても問題ありません。このことを考慮すると、少なからず、発展途上国の人たちの社会性を構築して自立を促せるメリットが残るため、スポーツを通した国際協力が必要だと言えます。
・政治学科
それでは若者ことばを受容していくべきか、統制していくべきかについて話し合っていきます。議論の流れとして、まず、若者ことばを受容することによりメリットとデメリットを挙げます。次にそのメリットとデメリットを比較した上で結論を出します。
メリットについて。
メリットは2つあります。1つ目は変化する社会を反映することができることです。時代は流れていくものです。その中で効率性や利便性などによって使う言葉も変化していきます。時代劇などを見ているとわかる通り、江戸時代での話し方と現代での話し方では全く違います。これはそれぞれの文化を反映した結果なので、効率的かつ効果的であると言えます。例えば、最近では「空気を読む」という言葉が生まれました。これは、その場の雰囲気を感じ取って、雰囲気を乱さないよう言動に気をつけるという意味があります。このような言葉は諸外国にありません。なぜなら、雰囲気を感じ取るというのは日本特有の文化だからです。このように、若者ことばは日本の文化を最大限反映することができます。2つ目は伝えたいことを簡潔に伝えられることです。例えば「空気を読む」ということを人に伝える場合、「その場の雰囲気をしっかりと感じ取って適切な言動をしてください」と言う必要がありますが、それを「空気を読む」という言葉だけで伝えることができます。若者ことばを伝える側と伝えられる側の双方が理解しているという必要がありますが、効率的なコミュニケーションをとることができます。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《1つ目のメリットについてです。なぜ社会や文化を反映した言葉を使う必要があるのでしょうか?》
文化とは国のアイデンティティです。国のアイデンティティを反映したような言葉があるのは重要なことです。
デメリットについて。
デメリットは日本語の美しさが損なわれることです。若者ことばの中には、日本語の持つ美しさや品格を失わせるものも多くあります。例えば、「ワクテカ」という言葉は「何かを期待している様子」を表す言葉です。語源としては、「ある物事に対してワクワクしており、汗で肌がテカテカになるほど期待している」というものです。聞いただけでは何を意味しているのかわからないし、きれいな言葉でもありません。このような言葉の使用は日本語への冒涜となってしまいます。
このデメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《確かに「ワクテカ」などのような若者ことばはきれいな表現とは言えませんが、友達同士の会話などカジュアルな場面で使う分には問題ないのではないでしょうか?》
カジュアルな場面での使用は問題ないと思います。しかし、日本語全体としてみたときに、品位が損なわれる可能性があることが問題です。
メリットとデメリットを比較していきます。対立している論点は、1つ目のメリットとデメリットです。日本の文化が反映されているという議論と、逆に美しさを損なうという議論です。ここに関しては、場面によって言葉を使い分けることで美しさを損なうという事態を防ぐことができるため、メリットがデメリットを上回ると考えられます。また、2つ目のメリットで述べられているように、効率的なコミュニケーションを実現することができます。したがって、若者ことばは受容されていくべきです。
■ディベートのコツ
・法律学科
議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、スポーツを通した国際協力について論じます。
スポーツと国との関係について議論をしていきます。今回は、議論のテーマが幅広いため、話題を絞って議論していきたいと思います。近年では、スポーツを通して国際協力をしようとする団体が増えています。スポーツは言語を必要としないコミュニケーションであるため、国際協力に向いているという意見があります。しがって、日本はスポーツを通した国際協力を推し進めるべきかどうかについて話し合います。議論の順番として、まず、メリットとデメリットを挙げます。その後、メリットとデメリットの比較を行い、スポーツを通した国際協力が必要かどうかを結論づけます。
問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。
メリットについて。
貧困地域における若者の社会性育成ができることです。現在、発展途上国の中で、社会構造的な問題が起こっています。それは地域コミュニティの中でのつながりが希薄になっていることです。このことにより若者の社会性が上手く育まれないという事態が起こっています。発展途上国では、物や金を送るという開発援助がなされていましたが、それらの施策は発展途上国側の待つ意識を増大させてしまいます。これにより自ら生活を向上させようという気持ちを刈り取ってしまいます。また、発展途上国では行政によるサポートが薄く、それらを埋めるためのシステムの構築を住民自身で行う必要があります。これらの問題を解決するためには、地域コミュニティにおいて個人同士のつながりや、個人と社会とのつながりが求められます。そのためのファーストステップとしてスポーツが有効に機能します。なぜなら、スポーツを通して周りの人とのコミュニケーションの仕方を学んだり、ルールを守る重要性を学んだりすることができるからです。実際にアフリカなどの多くの国でスポーツによる国際協力が行われています。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《スポーツをするだけで社会性を育むことは可能なのでしょうか?》
可能だと思います。スポーツだけで社会性が完璧に身につくとまでは言えませんが、社会性を育むための環境がない状態の人たちに、その機会をあげられるという点において、以上のメリットは重要だと考えられます。
結論→政策の是非の結論を述べるために、最後にメリットとデメリットを比較しましょう。
メリットとデメリットを比較していきます。まず、デメリットの確認を行います。内容としては、既存のコストにさらなるコストがかかってしまうとのことでした。しかし、既存のコストをスポーツによる国際協力のコストに充てることでこのデメリットは防ぐことができます。これにより、既存の国際協力が失われてしまいますが、既存の国際協力は発展途上国にとってマイナスの影響を与えかねないため、失われても問題ありません。このことを考慮すると、少なからず、発展途上国の人たちの社会性を構築して自立を促せるメリットが残るため、スポーツを通した国際協力が必要だと言えます。
・政治学科
議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、若者ことばのメリットとデメリットについて論じます。
それでは若者ことばを受容していくべきか、統制していくべきかについて話し合っていきます。議論の流れとして、まず、若者ことばを受容することによりメリットとデメリットを挙げます。次にそのメリットとデメリットを比較した上で結論を出します。
問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。
メリットについて。
メリットは2つあります。1つ目は変化する社会を反映することができることです。時代は流れていくものです。その中で効率性や利便性などによって使う言葉も変化していきます。時代劇などを見ているとわかる通り、江戸時代での話し方と現代での話し方では全く違います。これはそれぞれの文化を反映した結果なので、効率的かつ効果的であると言えます。例えば、最近では「空気を読む」という言葉が生まれました。これは、その場の雰囲気を感じ取って、雰囲気を乱さないよう言動に気をつけるという意味があります。このような言葉は諸外国にありません。なぜなら、雰囲気を感じ取るというのは日本特有の文化だからです。このように、若者ことばは日本の文化を最大限反映することができます。2つ目は伝えたいことを簡潔に伝えられることです。例えば「空気を読む」ということを人に伝える場合、「その場の雰囲気をしっかりと感じ取って適切な言動をしてください」と言う必要がありますが、それを「空気を読む」という言葉だけで伝えることができます。若者ことばを伝える側と伝えられる側の双方が理解しているという必要がありますが、効率的なコミュニケーションをとることができます。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《1つ目のメリットについてです。なぜ社会や文化を反映した言葉を使う必要があるのでしょうか?》
文化とは国のアイデンティティです。国のアイデンティティを反映したような言葉があるのは重要なことです。
結論→今回のように政策の是非を問われたときは、最後にメリットとデメリットを比較しましょう。
メリットとデメリットを比較していきます。対立している論点は、1つ目のメリットとデメリットです。日本の文化が反映されているという議論と、逆に美しさを損なうという議論です。ここに関しては、場面によって言葉を使い分けることで美しさを損なうという事態を防ぐことができるため、メリットがデメリットを上回ると考えられます。また、2つ目のメリットで述べられているように、効率的なコミュニケーションを実現することができます。したがって、若者ことばは受容されていくべきです。
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