議論の整理・・・貴学の報告(※1)によれば、部分とは、自己制御によって外界と対峙できる動的構造に因果的寄与を行う存在であり、個体とは、こうした動的構造のことである。
問題発見・・・しかし、この説明だけでは、個体同士の関係についての説明が十分ではない。
論証・・・論文(※2)では、 「<私>の同一性が確保されるためには、<私>は数えることもできない絶対的な唯一性を目指すのではなく、個体としての側面も同時にもつ必要があると考えた。さらに、そのような個体は世界に複数にわたって存在しうることから、自分自身の<私>と同一の世界に他の<私>が同時に存立しえるものと考えた」と述べられている。では世界に複数にわたって存在しうる個体が他の個体に因果的寄与を行うということは、存在論の枠組みではどう捉えればいいのか。
結論・・・そこで私は、個体同士の因果的寄与の存在論的研究を行いたい。
※1エアトル・ヴォルフガング、飯田隆、伊東祐司(2009)「講演会 Buddensiek教授連続講演会報告」
※2新山喜嗣(2005)「カプグラ症候群と永井の< 私> 論 (その 2): 本症候群で変更する他者の< 私> の存在論的意味」
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