■議論の整理・・・
現在、ホテルや旅館などの宿泊業は、インバウンドにより増加する外国人観光客の受入れ先として期待されている。その一方、深刻な人手不足にも悩まされている。とくに多くの時間が割かれているのが、予約管理や会計管理である。そのため、日本の「おもてなし」を世界に発信するために欠かせないサービス向上に手が回らない現実がある。さらに、予約管理に関しては、無断キャンセルが相次ぐ事案が発生するなど、システム化されていないがために、損害を被ることも少なくない。
■問題発見・・・
宿泊業が効率的に管理業務を行う環境整備が進まないのは、欧米とくらべて宿泊業の形態やサービス内容が多様だからではないか。その実情に合わせた管理システムが必要なのではないか。
■論証・・・
論文※1によると、日本の宿泊業は、ホテルチェーンだけではなく、旅館や民宿など、さまざまな宿泊形態がある。さらに、宿泊部門や料飲部門など、部門別の売上構成の比率が独特である。とくに宴会部門については、国際標準に合わせることが困難であると、論文※1は指摘している。確かに、最近の日本の宿泊予約の形態は、宿泊に加えて、朝食、夕食、浴場、その他の施設の利用がセットになっていることも多く、国際標準に合わせることが難しいことが分かる。
■結論・・・
しかしながら、宿泊業の管理の効率化を進めなければ、日本が目指すインバウンド効果を実現することはできない。そこで私は、完全に国際標準化することは難しいものの、日本の宿泊業の状況を踏まえてアレンジし、効率的なシステムを作れると考える。そのための基礎データを収集・整理し、効果的な枠組みを提案したい。
■結論の吟味・・・
長谷川惠一教授は、宿泊業の管理会計に関する研究を重ねており、現地調査等の実績もある。そこで私は、長谷川惠一ゼミに参加することで、宿泊業の効率的な管理システムの構築に役立つ研究を進めたい。
論文※1長谷川惠一(2013)「宿泊施設のベンチマークに有用な会計情報の検討」『早稲田商学』438号(早稲田大学)
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