■議論の整理・・・
経済波及効果とは、新たなニーズが発生したとき、それに関連する新たな生産活動が次々と生まれる状況を指す。その波及は、他の産業へと波のように広がっていくこともある。その結果、雇用者の所得がアップして消費がうながされる。消費が活発になることで、新たな生産が刺激される。これが経済波及効果のメカニズムである。この波及効果を分析するときに、線形代数学の理論が応用される。
■問題発見・・・
経済波及効果の分析は、分析する人がどのように設定するのかにより、結果が変わってくる。つまり確実なデータではなく仮説データとして捉えるべきものである。しかし、その完成度を高めることで、企業が自己分析できる機会が増えるのではないか。
■論証・・・
書評※1では、『社会科学の数学-線形代数と微積分-』を紹介するにあたり、数学的な思考力と幅広い応用力を養える点を高く評価している。私は、企業が自社商品の波及効果を測定するにあたり、精度の高いシステムだけではなく、予測に対する数学的感覚が備わるようなサポートが必要であると考える。そうすることにより、企業が自ら波及効果を測定し、その結果に基づき自らの行動を決定できるからである。
■結論・・・
そこで私は、実際の経済波及効果を分析しながら、企業で活用できるシステムの設計を試みたい。その際、初心者であっても波及効果が把握できるような、線形代数学の理論の応用を目指す。そして、仮説データとしての完成度を高めながら、数学的な感覚を磨けるような仕組みを提案する。
■結論の吟味・・・
大学の初学者向けの線形代数に関するテキストを出版しており、授業実践も豊富である安原晃教授に従事することを希望する。
書評※1谷山公規(2004)「沢田賢・渡辺展也・安原晃(著)『社会科学の数学-線形代数と微積分-』」『文化論集』第24号
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