■議論の整理・・・
コーポレートガバナンスとは、会社は経営者ではなく投資している株主のものと捉え、企業経営を監視する制度のことである。コーポレートガバナンスの対象は大企業が中心であったが、近年は中小企業における必要性も高まっている。外部のチェックがないまま、経営者の独断的な判断が続くことで、不祥事の発覚や突然の廃業につながるケースも少なくない。そのため、中小企業が抱える問題を、コーポレートガバナンスの視点から、改めて考える必要がある。
■問題発見・・・
アメリカの大企業では、監督と執行は明確に分かれており、コーポレートガバナンスの仕組みが確立している。一方、日本の中小企業の場合は、監督と執行が区分されているとは言い難い。そのため、独自のガバナンスの方法を確立する必要があるのではないか。
■論証・・・
論文※1によると、日本におけるコーポレートガバナンスは、経営者支配型から株主主権型に移行しつつある。しかしながら、日本のガバナンスの方法は、アメリカ型のモデルを部分的に取り入れた状態で漂流していると指摘している。日本企業は、意思決定のプロセスが曖昧で、問題が発覚したとしても、責任の所在が分からないことが多い。中小企業においては、意思決定者が限られているため、一見すると明確であるように見える。しかし実際は、役職間の責任の境界が曖昧であり、責任の押し付け合いになる傾向がある。
■結論・・・
中小企業のコーポレートガバナンスを考察するにあたり、まずは日本のガバナンスの現状と、中小企業が抱える問題を整理する必要がある。そのうえで、中小企業の現状を踏まえて、効果的なガバナンスのあり方や、将来的な改善の方向性を提示したい。
■結論の吟味・・・
私の主な関心である、中小企業におけるコーポレートガバナンスのあり方を探求するにあたり、日本のコーポレートガバナンスの現状を広く研究しながら、詳細な事例研究を行っている和田宗久教授のもとで学ぶことを希望する。
論文※1和田宗久(2012)「コーポレートガバナンスの規範分析」『早稲田商学』431号(早稲田大学)
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