日本医科大学 医学部 2018年 小論文 過去問解説

「道」の絵画を見て

議論の整理→

左右に緑しかない道が、絵画に向かう私の正面から先へと真直ぐに伸びている。道はどこに続いているのか判然としない。

問題発見→

この絵画を見て、私は先行きが見えない自分の進路について考えさせられた。現在までの十八年間、私は社会と両親との手によって支えられ、教育を受け成長してきた。これまでの人生はいくつかの逆境はありつつも、学校生活を健やかに過ごすという点においては友人と似通った人生であり、進学し、進級し、卒業するという先行きが予想できた。私の横には常に両親がいて、常にサポートしてくれていた。

論証→

しかし、高校を卒業した私の進路は現時点では未確定であり、両親の手から離れて社会に独り立ちする年齢でもある。この絵画では、進む先は見えず、道端は緑ばかりで途中で立ち寄り手助けしてくれる人もいない。道はやや上り坂のように見え、一人で登っていくには心細いように思える。私は医師を目指しているが、両親が医師ではない私にとって高校卒業から先は未知の領域であり、将来この進路を歩んで行った先にどのような未来が待ち受けているのか想像はできない。

解決策or結論・吟味→

それでも、この絵の道の先は青空とはいかないものの晴れているように見え、緑は青々としている。これからの人生を一人で切り開いていくのは心細い。それでも、進むべき道は前にあり、きっと辛いことばかりではないだろうと思えてくる。この道を歩んで進んで行こう、挑戦していこうという前向きな心持になれる。(598字)

理想的な教育について

議論の整理

「ゆとり教育」は子供達の学力の低下や、競争意識の欠如が問題点として挙げられ、撤回された。そもそも「ゆとり教育」は学習時間を減らし負担を減らしたことで子供の個性、多様性を評価し、勉強だけでなく広い分野において個人に合った能力を伸ばすこととされていた。また、知識を一方的に与えられるのではなく、自分で考えることのできる時間が多く与えられたことで、能動的に考えることのできる子供が育つとされていた。

問題発見

「ゆとり教育」が失敗に終わったとされる原因は、考える力が育つとされる「ゆとり教育」が、実際の教育現場では機能していなかったことにあると私は考える。

論証

考える時間が増えても、教育現場での教員の数は「詰め込み教育」時代と同数であり、子供全員が思考を膨らますのを十分に手助けることは困難である。教員の仕事量は多く、学生全員に気を配ることができない。考える力が未熟なまま、教員から十分にフォローを受けることのできなかった子供は、他の学生が力を伸ばしている間も漫然と時間を過ごしているだけになり、学力低下を招いてしまう。人員不足により「ゆとり教育」の目的が達成されないまま学力低下が進んでしまったため、少ない人員でも指導のしやすい「脱ゆとり教育」に回帰してしまったのだ。

解決策or結論

「ゆとり教育」の利点であった子供達の多様性を評価し個性を伸ばすという目標は、多様性を受容し評価することが求められている現代社会の方向性に合致していて、評価するべきことであったと考える。これを実際の教育現場で実現するためには、多くの子供に気を配ることができるだけの教員の余裕が必要である。そのためには教員の業務の軽減が必要であり、それが不可能であれば教員自体を増員する必要がある。

 

 

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