- 議論の整理・・・
少子・高齢化が進む日本において、国・地方公共団体などが要保障者に対して行う社会的給付をめぐる権利義務を中心として、その費用の負担などの法律関係を規定するのが、社会保障法である。社会保障法は、公的扶助、社会保険援護、社会福祉を主要な柱とする諸法であり、健康保険法、国民健康保険法、厚生年金保険法などが含まれている。
日本の社会保障制度の中でも、公的年金は、所得補償にとって大きな役割を果たす制度として発展してきた。特に遺族年金は、主たる生計維持者が死亡したのちの遺族の生活保障に寄与し、こうした遺族が貧困に陥るのを防ぐ役割を果たしてきたとされる。
- 問題発見・・・
では、年金制度について、どのような思想に基づいて、どのような議論が行われているのだろうか。また、諸外国の年金制度と比較すると、日本の年金制度にはどのような特徴があるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、日本の社会保障法に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、アメリカやイギリスなど諸外国における社会保障法の歴史を整理することが重要だと考える。例えば、遺族年金の歴史的展開過程や現況、支給要件を中心とした仕組みを概観するとともに、配偶者要件と生計維持要件をめぐる法的論点について検討する研究[1]があり、遺族年金の支給要件に関する男女差をめぐる裁判例の動向などを把握することができる。
- 結論・・・
そこで、社会保障法に関する基礎研究、社会保障の基礎理論、社会保障制度の日米比較などを専門に研究し、社会法学の専門家として名高い貴学法学部の菊池馨実教授に師事し、上述の問題点を整理するべく変容する社会経済状況を前提とした遺族年金のあり方について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の菊池馨実研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し菊池馨実研究会に入会することを強く希望する。
[1] 菊池馨実「遺族年金制度の課題と展望」社会保障研究1巻2号(2016年)354-369頁。
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