- 議論の整理・・・
近年、「グローバル化」というキーワードをよく耳にする。世界銀行によると、グローバル化は、「個人や企業が他国民と自発的に経済取引を始めることができる自由と権力」と定義される。金融や経済でもグローバル化が進み、私たちにとってプラスの側面がある一方で、生活を脅かすようなリスクも存在する。そうしたリスクが顕在化するとグローバル金融危機へと発展する。グローバル金融は、一つの金融機能不全が全体に波及するシステム上のリスクが高まることを意味し、金融危機が生じた場合、その影響は一国だけでは収まらない状態になってしまう。
- 問題発見・・・
では、アメリカのサブプライムローン危機を発端としたグローバル金融危機などの国際的な金融・経済危機はなぜ生じるのだろうか。また、国際的な金融・経済危機と独占禁止法や競争政策には、どのような関係があるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、独占禁止法や競争政策に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、諸外国の法制度と比較することが必要であると考える。例えば、グローバル経済危機の時代の独占禁止法の望ましい執行のあり方を答えることは困難な課題であることや、シカゴ学派的な自由放任主義には批判の目が向けられてきたことを指摘したうえで、経済危機の時代における競争政策は、金融規制監督上の無作為や自由放任主義的な競争政策を踏まえる必要があるとする研究がある[1]。
- 結論・・・
そこで、独占禁止法の国際的執行や経済法の基礎理論などを専門に研究し、経済法、競争法、独占禁止法の専門家として名高い貴学法学部の土田和博教授に師事し、上述の問題点を整理するべく独占禁止法制の比較研究を行いたいと考えている。
貴学法学部の土田和博研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し土田和博研究会に入会することを強く希望する。
[1] 土田和博「グローバル経済危機と独占禁止法」早稲田法学85巻3号(2010年)813-832頁。
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