■議論の整理
「道徳」という名称で教育が行われるようになったのは、1958年からである。第二次世界大戦以前に行われていた国家主義的な「修身」教育から、より国際的に一般的かつ普遍的な人格形成を目指すものになった。その間、道徳の授業は教科外の活動として扱われてきた。学校によっては授業の進捗に遅れを来している他の主要教科を道徳の枠内で教えていたり、形骸化した授業と課していたりといった問題があった。そして、2018年には小学校で、2019年からは中学校で、道徳の授業は「特別の教科」に格上げされた。「特別の教科」になったことで、文部科学省の検定を通過した教科書が用いられ、成績評価が行われるようになった。
■問題発見
道徳教育が国家の価値観を子どもに植え付けることに繋がるのではないかという懸念は言われ続けていることである。とはいえ、いじめなどの学校内での問題行動も頻発している中、児童生徒に対して善悪を教えることは重要であると感じる。いずれにせよ、思想心情に関わる授業であるため、教師はいつも以上に言葉の一つひとつに気を配らなくてはいけない。それぞれの児童生徒の置かれている状況にも配慮しなくてはならないだろう。
■論証
例えば小学校学習指導要領にある「家族愛」の高学年の項目では、「父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをする」と書かれている。この記載は親や祖父母が子どもを愛し大切に育てていることが前提となっている。しかし、すべての児童生徒が家族から無私の愛を与えられているとは限らない。その場合「家族愛」を強要することは正しくないだろう。
■結論
今までの道徳教育の歩みとその教育が社会に与えてきた影響を明らかに、現在の道徳の授業の際に教師が気を付けるべきことを考えていきたい。
■結論の吟味
以上の理由から、早稲田大学教育学部教育学科初等教育学専修に入学し、佐藤隆之教授のもとで学びたい。
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