議論の整理・・・
孔子によって打ち立てられた儒教は、中国を中心としたアジア諸国で今なお道徳規範として親しまれている。その中心となる思想は他者を思いやる仁と、感情を表現する礼によって社会秩序を守ることにある。人の心の動きを実践的な教えに落とし込んだ学問として浸透している。特に中国と韓国では民族のアイデンティティにも関わる重要な部分を占めている。中国では社会主義体制のもとで一時期儒教が禁止されたが、21世紀に入ってから国の思想的バックボーンとしてなくてはならない教えであると再評価を受けたという経緯がある。
問題発見・・・
近年、儒教の倫理観が経営倫理や企業精神に役立つとして注目されている。マネジメントの研究を行ったドラッカーも儒教に強い関心を持っていたことが知られており、企業倫理に関する論文において儒教を論じている。特に金融危機以後の混乱した企業倫理を立て直すための指針として用いられた。各国の企業が儒教倫理を取り入れるようになってからある程度が経ったが、儒教的が概念が本当にビジネス現場に浸透しているのか、そしてそれがどのような影響を与えているのか、検証が必要と考える。
論証・・・
研究の方法としては、企業理念をHP等で確認した上で、該当する複数企業において、儒教倫理を取り入れる以前との業績の比較や、可能であれば社員や経営者にインタビューを行いたい。現状を分析した上で、改善点や今後の展望につなげていくことができると考えている。
結論・・・
上記について貴学文化構想学部にてアジア思想史に精通した土田健次郎教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
土田健次郎「中国近世の学と道と文」日本「文」学史 第三冊/勉誠出版p.98 – 1092019年05月-
土田健次郎「儒教」日本思想史講座5 方法/ぺりかん社p.433 – 4452015年12月-
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