議論の整理・・・
2013年6月に富士山がユネスコ世界文化遺産に登録された。これは富士山に宗教性や芸術性を認めてきた日本人の自然観・文化観を評価してのものとされている。それ自体は誇らしいことであるが、同時に世界遺産登録は問題を生み出していることも知られている。外国人観光局が増えたことで登山道は慢性的な混雑状況となり、ごみの増加も問題視されている。特に発展途上国では、観光開発で収入を上げるために戦略的に遺産を探し出している現状があり、宗教や尊厳、エスティニシティの面など複合的な側面から問題となっている。領土問題や歴史認識の相違から国際的に物議を醸し、武力衝突につながった例も報告されている。
問題発見・・・
ユネスコの世界遺産登録について、様々な問題点を踏まえてどのように管理状況を改善させていったら良いのだろうか。観光資源に収入面で頼らざるを得ない発展途上国の状況を変化させていく方法についても併せて研究を進めたい。
論証・・・
まず、ユネスコが1972年から世界遺産登録を進めてきた狙いや哲学を再考し、同時に世界遺産登録によって過去に生じてきた問題点を洗い出す。これによって、現代の世界遺産を取り巻く状況において、ユネスコによって予想されていたことと、されていないことを洗い出す。可能であればフィールドワークを行い、有形・無形の世界遺産当事者へのインタビューを行うことでより現場の実情に即した研究として進めていきたい。
結論・・・
上記について貴学文化構想学部にて観光人類学に精通した西村 正雄教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
西村 正雄. ヘリテージ・ツーリズムと文化的アイデンティティ-ラオス・カンボジアの国境地帯の調査から-. アジア学のすすめ 第2巻アジア社会・文化論(村井吉敬 編集). 2010. 112-146
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